アクションに大きく舵を切る『キングダム2 遥かなる大地へ』、二度見したくなる面白さ『キャメラを止めるな!』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、2019年実写邦画No.1ヒット作の続編となる歴史アクション、あの話題作のフランスリメイク版となるゾンビ・サバイバル、記憶を失くし、自分をスーパーヒーローだと思い込んでいる男のドタバタを描くコメディの、ダイナミックな3本。
スタッフ&キャストの“前作超え”発言に嘘はない…『キングダム2 遥かなる大地へ』(公開中)
大将軍になる夢を抱く戦災孤児の少年、信(山崎賢人)と、中華統一を目指す“秦”の若き王、嬴政(吉沢亮)の友情と戦いを描いた前作から3年。待望のシリーズ第2弾は、ここからが本番だ!とばかりに、前作よりもアクションに大きく舵をきる怒涛のスペクタクル・エンターテインメントになっていた。
侵攻を開始した隣国“魏”と“秦”との“蛇甘平原の戦い”が圧倒的なスケールで映しだされ、これが初陣となる歩兵の信も頼りない仲間を率いて大暴れ! 清野菜名が演じる哀しい目をした美しい暗殺者、羌瘣が放つ華麗なソード・アクションにもシビれまくり、彼女の狂おしい生き様に心を揺さぶられた興奮状態のまま、普通はどう考えても勝てない合戦シーンに突き進んでいくのだからたまらない。
劣勢で、兵の数も圧倒的に少ない秦に勝機はあるのか?秦と魏の総大将、藨公将軍(豊川悦司)と呉慶将軍(小澤征悦)との腹の探り合い=頭脳戦にも息をのむ。前作から続投の佐藤信介監督、山崎賢人を始めとしたスタッフとキャストも「前作を超えた!」と公言しているが、その言葉に嘘はない。(映画ライター・イソガイマサト)
クルーが一つにまとまる姿はよりカタルシスが味わえる…『キャメラを止めるな!』(公開中)
一大旋風を巻き起こした上田慎一郎監督作『カメラを止めるな!(18)』を、『アーティスト』(12)で賞レースを席巻したミシェル・アザナヴィシウス監督がリメイクしたドタバタコメディ。不気味な廃墟でゾンビ映画を撮影中の映画クルーが、本物のゾンビに襲われていく。
構成は原作に忠実だが、2つの映画を明確に分けているのが日本とフランスのお国柄。その場の空気を読む人々が右往左往する原作に対し、今作は自己主張の強い個性派たちが様々な摩擦を生んでいく。緊張感が増した分、人種を越えた多彩なクルーが一つにまとまる姿はよりカタルシスが味わえる。リメイクと書いたが正確には続編で、原作の松田プロデューサーが作品を仕切っているなどヒネリを効かせた作りもマル。二度見したくなる面白さと、混迷する現場を力技で乗り切る映画屋魂にも心打たれる痛快作だ。(映画ライター・神武団四郎)
スーパーヒーロー映画への目配せが隅々にまで効いている…『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』(公開中)
フランス映画と言うと、難解でオシャレな人間ドラマを思い浮かべるだろうが、本作は『世界の果てまでヒャッハー!』(15)や『ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~』(17)などの“おバカ系コメディ”。しかも本国No.1大ヒットとは、結構フランス人もおバカ好き。なるほど夏の暑さやイライラを一気に吹き飛ばしてくれる、ゲラゲラ笑い必至の爆笑アクション・コメディだ。
売れない役者セドリック(フィリップ・ラショー)が、ひょんなことからヒーロー映画『バッドマン』の主役を手に入れる。ところが撮影途中で事故に遭い、記憶を失ってしまう。“バットマン”似のバッドスーツを着たまま、“バットモービル”似のバッドモービルに乗った自分を、“あれ、俺ってスーパーヒーローだったのか!?”と勘違いして、悪者を退治しようとするが…。
バットマンならぬ“バッドマン”という、もろパクり設定が脇腹をくすぐる。しがないダメ俳優が強いハズもないのに、あれよあれよと偶然の連鎖で事態があらぬ方へと転がっていく様は、まさに“ピタゴラスイッチ”的展開とも言うべきか。監督、共同脚本、主演のフィリップ・ラショーは、『世界の果てまでヒャッハー!』や日本の人気漫画を実写映画化した『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』でも監督、脚本、主演を務めたその人。彼曰く、スーパーヒーロー映画への目配せが隅々にまで効いているとのことなので、マーベルやDCファンも必見(かもしれない)!(映画ライター・折田千鶴子)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼
※山崎賢人の「崎」は立つ崎が正式表記