「007」と並ぶ伝説の英国スパイが復活!イッキ見推奨のドラマシリーズ「ハリー・パーマー 国際諜報局」の魅力に迫る
「007」シリーズと双璧をなし、多くのスパイ映画に絶大な影響を与えてきたレン・デイトンのスパイ小説「イプクレス・ファイル」。同作を57年ぶりに映像化したドラマシリーズ「ハリー・パーマー 国際諜報局」が、現在スターチャンネルEXにて全6話配信中だ。スタイリッシュでありながらも人間味あふれる主人公をはじめ、一度観はじめたら虜にならずにはいられない要素が盛りだくさんの本作。本稿ではその見どころを紹介していこう。
物語の舞台は1963年。冷戦化の西ベルリンに配属されていた英国陸軍軍曹ハリー・パーマーは、軍の物資を盗み東側に横流ししていた罪でロンドンの軍事刑務所に投獄される。そのころ、核兵器を開発していた英国人教授が誘拐される事件が発生。ウィリアム・ドルビー率いる特別諜報機関W.O.O.C.が救出作戦に動きだす。ドルビーは誘拐に関与している男と一緒に写真に写っていたパーマーを訪ね、服役免除を条件に協力することを要請。こうして諜報員になったパーマーは、ベルリンやベイルート、そしてアメリカが原発実験を行う太平洋の環礁へと世界中を飛び回っていく。
「キングスマン」の原点!英国スパイの元祖が57年ぶりによみがえる
全世界で累計発行部数1000万部を突破した原作小説は、イアン・フレミングの「007」シリーズへのアンチテーゼとして執筆されたもの。まさに「007」シリーズの映画化が大成功となった1960年代の半ば、この「ハリー・パーマー」シリーズも『国際諜報局』(65)というタイトルで映画化される。
労働者階級出身で、黒縁メガネをトレードマークに料理好きという、「007」のジェームズ・ボンドとは対照的なハリーのキャラクターは絶大な人気を博し、その後シリーズ化。第2作『パーマーの危機脱出』(65)は「007」シリーズを4作手掛けたガイ・ハミルトン監督がメガホンをとり、第3作『10億ドルの頭脳』(67)は後にカルト的人気を誇るケン・ラッセル監督の出世作に。そしてなにより、3作すべてで主演を務めたマイケル・ケインを一躍スターにのし上げた作品としても知られている。
「007」シリーズから影響を受けたスパイ映画が数多く出現するなか、本作から影響を受けたスパイ映画も登場する。その代表格のひとつは、1990年代に世界中で大ヒットを記録したスパイ・コメディ映画「オースティン・パワーズ」シリーズ。マイク・マイヤーズが演じた主人公のオースティン・パワーズは、ハリー・パーマーをモチーフにして生みだされたキャラクターであり、シリーズ第3作『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』(02)にはオースティンの父ナイジェル・パワーズ役としてケインが出演。夢の共演にスパイ映画ファンは大いに沸きたった。
さらにマシュー・ヴォーン監督がメガホンをとった英国製スパイ映画「キングスマン」シリーズでコリン・ファースが演じたハリーは、その名の通りハリー・パーマーにオマージュが捧げられたキャラクター。さらに黒縁メガネや傘など、ハリーを象徴するアイテムも踏襲されており、同シリーズのヒットによって「ハリー・パーマー」シリーズへ再び注目が集まることに。
「007」シリーズが映画第25作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(21)でひとつの大きな節目を迎えたタイミングで、イギリスが誇るもう1人のスパイ“ハリー・パーマー”が堂々復活を遂げる。