【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第5回 過去や未来について考えてみた
その時の自分の中にある気持ちは1つの宝物
そんなことを考えていると、映画『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(13)を思い出す。
家族を愛する青年ティムはある日を境に人生が大きく変わる。父から「我が家の男は時空を旅できる」と聞かされたティムは未来と恋人を探すためにロンドンへ行き、そこで出会ったメアリーと恋に落ちる。何度も過去に戻り自分の失敗をやり直すティムだが、タイムスリップで全てがうまくいくはずなかった。タイムスリップすることで起こる、新たな問題にティムは振り回される。そしてティムは次第に大切なことに気づき始める。「過去に戻れても人の気持ちは変わらない」とティムは作中で言っている。人の気持ちは変わらないし、自分の気持ちだって変わらない。同時に、明るかろうが暗かろうが、その時の自分の中にある気持ちはその時にしかない気持ちなのだから、1つの宝物とも言えるのではないだろうか。
過去や未来のことをこのコラムを通じてさかのぼっていくと、1つ思い出したことがあった。それは、「将来の夢が私にはない。不安でしょうがない」と悩んでいた私の友人のことだ。彼女と私は多くの大切な時間を共にして来た仲だが、一緒にいた間彼女はずっと悩んでいた。昔の私は彼女のその悩みに、「大丈夫」としか答えられなかった。なんて答えれば彼女は安心し、傷つかないのか分からなかったからである。
予測不能な変化が嫌いな日本(という私のイメージ)では、夢がゴールとなりがちである。義務教育を受ける上で何度も聞かれるのが「将来の夢はなんですか?」である。今年40歳になる知人は、この歳になっても未だに将来の夢は何かと聞かれる、と言っていた。
私は何度も「そんな先のことは自分ですら分からないので10年後20年後の私に聞いてみてはいかがでしょうか」とぺらぺらの紙に書いてやろうかと思った。そう、書いてやってもよかった。夢が変わったって良いし、変わらなくても良い。約束された自分に執着して苦しい思いをするくらいなら、夢がなくたってもちろん良い。
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
YouTubeにて「MINAMOジャンクション」を配信中。
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