伊坂幸太郎原作映画を総ざらい!『ブレット・トレイン』まで16年間の14本をプレイバック
『ゴールデンスランバー』は韓国リメイクも!伊坂作品の人気はグローバルへ
2008年本屋大賞と第21回山本周五郎賞を受賞した代表作を映画化した『ゴールデンスランバー』(09)が興収11.5億円のヒットを記録し、さらに伊坂作品人気が急騰。同作を手掛けたのは、伊坂作品の映画化ではすっかりおなじみとなった中村監督。続け様に中村監督は、仙台オールロケの人間ドラマ『ポテチ』(12)も手掛けている。
その後も、のちに『新聞記者』(19)で日本アカデミー賞を席巻する藤井道人監督が手掛けた『オー!ファーザー』(13)や、生田斗真、浅野忠信、山田涼介が共演した『グラスホッパー』(15)が公開。ちなみに『グラスホッパー』の原作は、『ブレット・トレイン』の原作「マリアビートル」と同じく「殺し屋シリーズ」の第1弾。『ブレット・トレイン』の公開に向けて原作を読むならば、是非ともチェックしておきたい一作だ。
さらに伊坂人気は国境を突破する。原作小説に強い感銘を受けた韓国映画界の人気スター、カン・ドンウォンが自ら製作会社にオファーし、『ゴールデンスランバー』の韓国リメイクが実現。また同年には、伊坂とシンガーソングライターの斉藤和義の絆から生まれた恋愛小説集を、“恋愛映画の旗手”今泉力哉監督が映画化した『アイネクライネナハトムジーク』(19)も公開。三浦春馬と多部未華子の共演が大きな話題を集め、ジャンルを問わない伊坂作品の人気は、まさに不動のものとなった。
魅力的なストーリーと個性あふれる登場人物が持ち味の伊坂作品は、エンタテインメント性豊かで映画化との親和性は抜群。伊坂作品14作目の映画化にして、初のハリウッド映画化となる『ブレット・トレイン』も、原作への敬意と物語の舞台となる日本への愛情が随所に散りばめられながら、ハリウッド大作らしいスケール感を持ち合わせた珠玉のエンタテインメント作品に仕上がっている。
伊坂作品のファンはもちろんのこと、ハリウッド映画好きには絶対に見逃せない一本となっているので、是非とも劇場の大スクリーンでノンストップのアクションを目撃してほしい!
文/久保田 和馬