ブライス・ダラス・ハワードが噛みしめる、『ジュラシック・ワールド』との8年間「いつかクレアとして戻ってきたい!」
「恐竜と人間のドラマが重なり、ブルーもクレアも母親になった」
本作ではハワードがシナリオを読んで興奮した、クレアのアクションシーンも満載だ。マルタ島では恐竜に追われて全力で逃げたり、恐竜に見つからないように池の中で息を潜めていたり、身体を張った危険なパフォーマンスが連続! そこで「一番過酷だったアクションは?これは流石に無理!と思ったものは?」と聞くと、思い出したように笑うハワード。「もっとも過酷でチャレンジングなアクションは、実はやらなくて済んだんです(笑)。もちろん自分でなんでもやりたいとは思っていたんですけど、飛行機から実際に飛び降りるアクションを提案された時だけは『ちょっと、それだけは…』って言っちゃいましたね」と告白する。
「そういう、私にはできない危険なアクションシーンでは、スタント・ダブルのサラ・サクランがすばらしい仕事をしてくれました。でも、自分もよくやったと思っています。私が激しいアクションもこなせるようにサラがトレーニングしてくれたから、とても楽しい経験ができた。なかでも水中のシーンは、もっとも楽しかったものの一つ。服を着たまま水に浸かるシーンの撮影は何度もできないから、なるべくワンテイクで終わらせなければいけない。今回はけっこう長い時間潜っていなければいけなかったから大変だったけれど、失敗はできないから、どうしたらちょうどいい位置で浮いていられるんだろう?ということを自分で考えながらやってみました。それがとても楽しかったんです(笑)」。
映画制作は監督やプロデューサー主導で、俳優陣は駒のように扱われているように思われがちだが、少なくとも本シリーズの制作スタイルはその悪しきイメージとはかけ離れている。実際、ハワードやプラットが前2作で閃いたことなどをトレボロウ監督に伝え、それが採用されたシチュエーションや設定もあるという。
「確かに、前2作の現場でクリスはコリンといろいろなことを話していたし、即興でやって見せたりもしていました。それは本当に楽しい、すばらしい時間で、私は2人のやりとりや、自分やほかのキャストが発言したことを書き留めていて。コリンが『そのメモを見せて欲しい』と言ったことがあるんです」と打ち明ける。「いまとなっては、どれが誰のアイデアだったのかを思い出すのは難しいけれど、そのメモのトップに書いたもっとも重要な項目が、『ブルー』と呼ばれる恐竜のヴェロキラプトルが自分の子供を産むというものだったんです」。
ハワードのこのコメントには驚いた。なぜなら、本作ではブルーとその子どもベータのドラマが、クレアとオーウェンが育てているクローンの少女メイジ―(イザベラ・サーモン)とのドラマと重なり合うように描かれ、それが恐竜と人間の共生をめぐる本作の核になっているのがすばらしいと思っていたからだ。そう伝えると、ハワードもやや興奮気味に「自分は、イザベラが演じたメイジーにすごく共鳴したんです」と少し語気を強めた。
「メイジ―は私の息子と同い年なんですけど、私には彼女みたいな娘もいるんです。その娘と一緒に本作を観ていたら、彼女がクレアとメイジーが衝突するシーンのあとで『私もこうだったよね、ごめんね』という思いがけない反応をしたんです(笑)。クレアと私はそんな子育ての同じステージに立っていたこともあったし、ブルーも母親になった。このシリーズでは進化の可能性とそれが別の結果をもたらすことも示唆しているけれど、もともとはオーウェンの子どものような存在だったブルーが親になり、甥っ子たちをハグできないような女性だったクレアも母親になった。そういう成長のプロセスを示した恐竜と人間の2つのドラマがリンクしていて、本当にすばらしいと思います」。