清野菜名が語る、身体を鍛え抜くアクションの魅力「自分の可能性を広げていきたい!」
2006年から「週刊ヤングジャンプ」で連載開始し、これまでに単行本の累計発行部数が9000万部を突破している大ベストセラー漫画「キングダム」。2019年に映画化され、その年の実写邦画作品ナンバーワンとなる興行収入57億円超えの大ヒットを記録。その待望の続編『キングダム2 遥かなる大地へ』(公開中)も、すでに興行収入45.3億円を超え、現時点で2022年公開の実写邦画作品ナンバーワンとなるヒット中だ。
続編の成功のカギを握ったと言っても過言ではない重要なキャラクターである羌カイ役を託されたのは、日本で“アクションもできる女優”と言えば、いまや真っ先に名前が挙がる清野菜名。今後も『異動辞令は音楽隊!』(8月26日公開)、『耳をすませば』(10月14日公開)と話題作への出演が目白押しの彼女に、アクションに対する想いや『キングダム2』の撮影裏話を訊いた。
「目標は人間離れした動き。ジャッキー・チェン映画のようなトレーニングも…」
舞台は紀元前、中国春秋戦国時代。前作『キングダム』は、天下の大将軍になる夢を抱く戦災孤児の信(山崎賢人)が、中華統一を目指す若き王、のちに秦の始皇帝となる嬴政(吉沢亮)と出会い、王都奪還を成功させるまでが描かれた。そして『キングダム2』では、いよいよ信の初陣となる“蛇甘平原の戦い”に突入!そこで信たちと“伍”という5人組を組んで共に戦うことになるのが、ミステリアスな空気を身にまとった剣術の達人である羌カイだ。
本作の松橋真三プロデューサー曰く、「羌カイを演じるには、いままで見たこともないアクションに挑むための身体能力の高さと素養が必要。さらに、キャラクターの持つ哀しみを表現できる高い演技力も求められます」という難役である。「大人気キャラクターですのでプレッシャーも相当と思われましたが、すべてをはねのけてファンを納得させられるのは、清野さんしかいないと思いました」と熱いオファーを受け、羌カイを演じることになったが、実際そのプレッシャーは相当なものだったという。
清野はこの抜擢を、「とてもワクワクしたのですが…」と振り返る。「大人気のキャラクターで、熱狂的なファンの方もいらっしゃる。自分がそのキャラクターを実写作品で演じられることにはワクワクしました。ですが不安やプレッシャーの方が強くて、日々、羌カイの過去に向き合いながら、悩みながら撮影していました」。そんな葛藤を知ってか知らずか、現場では「スタッフの皆さんがとにかく口を揃えて、『羌カイは強いから。この映画は羌カイにかかっているから!』とおっしゃるんです(笑)」とさらなる重圧がのしかかる状況…。だがそれすら前向きな原動力に変えられるのが清野の強さ。「そう言われて、ますます頑張らないといけないなという気持ちになりました。くじけそうになったら、『羌カイにかかっている』という言葉を思い出して撮影を乗り越えていました」と明かす。
つらい過去を抱え、どこか哀しい目をしている羌カイ。戦いの際は「トーンタンタン」と唱え巫舞を繰りだし、愛用の剣である緑穂を操り、表情一つ変えずに相手を圧倒。小さな体で敵をビシバシと斬り倒していく。そのアクションを生身の人間が表現する際に、どうすれば説得力を持たせることができるのか。実写で成立させるため、試行錯誤を繰り返したという。
「アクション部の方と、なにが一番羌カイの動きに近いのかを考えていきました。目標にしていたのは人間離れした動きです。それは立ち回りを覚えたらできるというものではなくて、体の基盤から作っていく必要がありました」。稽古に入る前は必ず、独特の羌カイの動きに特化した筋トレから始め、「ジャッキー・チェンの映画に出てくる修行シーンのように」両手のうえにカップを載せて落とさないように動くなど、体幹づくりにも励んだ。また、巫舞を表現する際に役立つかもしれないと、ダンスの基礎トレーニングである「アイソレーション」に取り組んだりもしたそう。
そうやってこつこつと積み重ねたトレーニングも功を奏し、完成した映画では、男ばかりの戦場で異彩を放つ、超人的なアクションシーンを披露している。撮影時には、信役の山崎賢人はじめ、共演者たちの励ましも支えになった。「みんなプラス思考なんです。一人ずつアクションシーンを撮る時などは、ワンカット終わるたびに皆が声を掛け合うのですが、私の場合、『羌カイすごくカッコよかったよ』と皆が言ってくれて、それが自信にもつながりました。励まし合って、高め合って、いいアクションシーンが撮れたと思います」と清々しい表情で語る。