清野菜名が語る、身体を鍛え抜くアクションの魅力「自分の可能性を広げていきたい!」
「様々なアクションを習得するなかで、自分の可能性を広げていくのが楽しい!」
1作目で大成功を収めた作品に続編から加わり、しかも重要キャラを担う難しさを経験した清野に、「プレッシャーや不安に打ち勝つ一番の方法」はなんなのかを聞いてみると、「とにかく自分を信じること」ときっぱり。「そのためにクランクインしてからも羌カイの動きやアクションの練習は続けていました。とにかく自分が羌カイになりきる、自分は羌カイなんだって思えるぐらいのメンタルにしたかったのです」。羌カイとしてもっとも印象に残っているのは、予告でも流れていた、岡山天音演じる尾平に「だってお前はまだ生きてるじゃないか」と訴えるシーンだとか。「台本を読むたびに本当にしびれたシーンです。羌カイのすべてをぶつけるところだったので、あのシーンに向けてメンタルを作り、合わせていった感覚があります。原作者の原泰久先生が作ってくださったオリジナルのネームを読んだ時もジーンときた場面でしたし、それを実写で、自分が現場で演じていることにちょっと震えました」。
撮影に向けて体をストイックに鍛え、メンタルも見事にコントロールしている印象を受けるが、「メンタルは弱いほうなんです」という。「怖気づいちゃうし、緊張もするし。でも、それを超える自信もちゃんとつけて現場に立つように心掛けています。『これだったら大丈夫』って言えるぐらいまで準備して、そのキャラクターの心情を自分が一番理解しているのは自分だと思えるようにして。そうでないと、見ている方に不安な気持ちが伝わってしまうので」。
アクションは「バイオハザード」シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチを見て、「強い女性に憧れて、自分も強くなりたい」と始めたそうだが、こんな未来は想像していなかったという。「アクション女優になりたくて始めたわけではなかったので、こういうふうにアクションの仕事がつながっていくことは、想像していなかったです。なので、結構驚きはありますね」。だがもともと運動が好きで、それを仕事に活かせるのはうれしいとも。「銃を使ってみたり、剣を使ってみたり、作品ごとに求められるアクションの種類が違うので、そのたびにまた新しいものを習得する。そうして、自分の可能性も広がっていくのも楽しいです」。
ターニングポイントとなったのは、初めてアクションを披露した『TOKYO TRIBE』(14)。以来しばらくアクション作品への出演が続き、「自分はアクションありきで呼ばれている」とひねくれモードに入った時期もあったそうだが、その思いが変わるきっかけとなったのが、12人の監督が短編映画を製作するプロジェクト『DIVOC-12』(21)の一本である、『死霊軍団 怒りのDIY』への主演だった。「あまり縛りのない形でアクションをして、改めてアクションの楽しさに目覚めたんです。同時に、アクションができる時期には年齢的リミットがあるなと感じたので、体が動くうちにアクションをやりたいなと思いました。今回の『キングダム2』も、自分がいままでやったことのない、そして昔の自分ではできないようなアクションに出会えて。アクションというものにもっと興味が出て、もっと好きになった作品でもありますね」。
『キングダム2』の話になると目がキラキラと輝き始める。「無我夢中になりすぎて、実は瞬間瞬間しかあまり覚えていないほど、常に全力投球していた現場」だったというだけに、思い入れも強い。「撮影のことを思い出すだけでいまも熱くなってしまうぐらいのテンションでずっと現場にいましたし、やりきった感覚はあります。スクリーンで自分の表情を見て、この時はこういう顔をしていたんだと気づくことも多かったです」。撮影の日々も、完成した映画も、かけがえのないものになっている。「完成作は、冒頭からスケールの大きな映像と、ダイナミックな音があいまってかっこよすぎて、私がこの映画に本当に出ているの?っていう気持ちになりました(笑)。いままでの日本映画にないスケールで、世界と戦えるのではないかというくらい自信のある作品なので、是非みなさんにご覧いただいて、興奮していただきたいなと思います!」。
取材・文/森 祐美子
※山崎賢人の「崎」は立つ崎が正式表記
※羌カイの「カイ」はやまいだれに鬼が正式表記