「ナルコの神」監督&キャストが秘話を激白!韓国俳優界のドリームチーム結成に「控えめに言っても最高」
「オリジナルの韓国語と字幕で観ていただくと、真髄を味わってもらえると思います」(パク・ヘス)
国家情報院のエージェントで、囮捜査に自ら乗り出すチェ・チャンホ役を演じたパク・ヘスは、「イカゲーム」や「ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え」など、公開待機作を含め6本ものNetflix作品に出演している。巷では「Netflixの正社員」「Netflix公務員」などという異名で呼ばれているという。エージェントからドラッグ・ディーラーへ様変わりする“2役”を演じたパク・ヘスは、「監督は私のなかにあるユーモアの部分を抽出したいと考えていたようです。脚本ではキャラクターごとに象徴的なセリフがあてがわれていたので、演じるのは難しくはなかったです。韓国以外でドラマを観ている方は字幕や吹き替えで観ていると思いますが、オリジナルの韓国語と字幕で観ていただくと、真髄を味わってもらえると思います」と、役ごとにしゃべり方や発声を変えて演じた点を強調していた。
「賢い医師生活」などで知られるユ・ヨンソクは、彼のイメージを覆すような麻薬組織の法務担当、デヴィッド・パク役を演じる。「弁護士の役ですが、彼は知的な弁護士ではなく、知識のあるごろつきです。この屈強な共演者の方々のなかに入った時に、僕だけソフトな印象を与えないように溶け込む努力をしました」と役作りについて語っていた。彼らの話を聞いていたユン・ジョンビン監督は、「このキャストが揃い、そしてセットで演じる彼らを見るたびに、エネルギーが爆発しているのを感じました。視聴者の皆さんも、キャストの名前を聞いただけで興奮したと思いますが、控えめに言っても、本当に最高でした」と述べ、さらにこう付け加えた。「ハリウッド映画に出演する彼が快諾してくれ、天にも登る気持ちでした」。スリナムの中華街を仕切る中国系マフィアを演じたチャン・チェンの近作は『DUNE/デューン 砂の惑星』(20)で、ユン・ジョンビン監督は出演オファーをするために飛行機で駆けつけ直談判したのだそうだ。
「あまりにも見事な美術と小道具で、ロケとセットの違いを見分けることができません」(チョ・ウジン)
スリナムのシーンはドミニカ共和国で撮影が行われたが、南米のジャングルのシーンは韓国のチェジュ島に作られた。美術監督が椰子の木を植えると共に、CGI監督がそれらの木々の数をVFXで増やすといったチームワークで完成されている。中国系韓国人のマフィアを演じたチョ・ウジンは、「あまりにも見事な美術と小道具で、ロケとセットの違いを見分けることができません。プールのそばで寝そべっていると、南米にいるような気分で演技ができましたから(笑)」と、パンデミックで思うように海外ロケができない際にも、美術監督や大道具、小道具のスタッフの並並ならぬ努力によって切り抜けられたことに感謝していた。
全6話のうち、ここにいるキャストが勢揃いするシーンがいくつかある。それらのシーンこそが「ナルコの神」の白眉で、「まるで真のマフィアゲーム(誰がマフィア役かを推測し合うゲーム)がその場でプレイされているよう」と、チョ・ウジンは表する。ユ・ヨンソクは「諜報員の騙し合いジャンルなので、お互いを疑い、お互いの正体を探ろうとする過程の演技が、とても楽しかったです。ドラマでありながら、舞台で何百人もの観客の前に立って演劇を演じているような気分でした。それらのシーンを撮影した時のスリルをいまだに覚えていています」と付け加えた。そのスリルは画面を超えて視聴者の元にも届く。全6話だが密度が濃く、ページをめくる手が止められないように、次のエピソードに進むのを止めることができなくなるだろう。
取材・文/平井 伊都子