小芝風花&川村壱馬が語る、恐怖とコミカルが同居する魅力「まったく新しい“貞子”の映画」
「ホラー映画におもしろいキャラがいて大丈夫かなと、ずっと不安に思いながら演じていました」(川村)
――小芝さんは、IQ200の天才大学院生という文華のキャラをどう表現しようと思いました?
小芝「IQ200だし、王司にけっこうツッコミを入れるキャラだったから、笑顔も少ない淡々とした冷たいイメージで最初考えていたんです。でも、木村ひさし監督の演出や現場で足されるセリフが可愛らしいものだったし、完璧なキャラクターではなく、隙もわりと多めだったので現場ではすごく迷っていて。『役をつかめた!』っていう感覚は全然なかったんですけど、完成した作品を観た時に文華がちゃんと成立していたので、安心しました」
――方程式を解くように、起こった現象をスラスラ淀みなく解説する姿も印象的でした。
小芝「説明するシーンが多かったし、そこは賢そうに見えたらいいなと思いながら演じていたんですけど、途中で監督に『なんつって』っていうセリフを足されて。それまでクールな感じだと思っていたのに、文華は『なんつって』って言うんだって思ったところからわからなくなって。頭の中がぐちゃぐちゃになって、どうしようって混乱することが何回かありました」
川村「僕もずっと不安でした。ホラー映画に王司みたいなおもしろいキャラがいていいのかなと思いながらやっていたし、監督の演出も僕が想像していなかった大袈裟なものを求めるアプローチだったので、そこは試写で観るまで腑に落ちなかった」
小芝「私はいままで王司みたいな役柄が多かったから、自分の役がムズがゆくて(笑)。おもしろいツッコミを入れられるかなというプレッシャーもあったし、大きくリアクションができる王司はいいなって思いながら演じていました」
川村「確かに。王司が作品のなかでどう見えるのかという不安はあったものの、僕もお芝居自体はすごく楽しかった。経験したことのない感じのものが多かったしね」
小芝「川村さんは、普段は本当に落ち着いているんですよ。声も低いし、ゆっくり話す方で、王司は真逆で、たまにヘンな奇声も発したりする。ファンの人やいつもの川村さんを知っている人は、そのギャップがすごくおもしろいでしょうね」
――文華と王司には決めポーズもありましたね。
小芝「あれは現場で足されたお芝居なんですけど、最初の車のシーンのところで、監督が耳の後ろで両手を広げるポーズを見せながら急に『こうやって』って言ったんですよ。どうやら、耳の後ろのツボを押して頭の回転をよくさせるポーズだったんですけど、そのときは指の開き方やそのスピードに対する監督のこだわりが強過ぎて、『わかんない、わかんない』ってなっちゃいました。映画の後半で王司があのポーズをしながら、『これ、なに?』ってツッコミを入れてくれたからよかったけど、あれがなかったら成立していなかったかもしれない」
川村「鼻の下を人差し指でこすってから、名言みたいなことを言う王司のあの仕草も、現場で監督から『こんな感じで』って突然言われた気がする」
小芝「監督がやってみせてくれるんですよね(笑)」
川村「そうそう。身振り手振りで教えてくれるんだけど、僕はあれが足されてよかった(笑)。ひとりでズレまくって、残念感が増したからね」
「撮影が進むうちに、最初に考えていた文華がちょっとずつ崩れていきましたね」(小芝)
――小芝さんが先ほど言われた2人のかけ合いはとてもおもしろかったです。
川村「あのかけ合いはアドリブもいろいろ多くて大変でした」
小芝「『下の名前で呼ばないで!』ってセリフは台本通りだけど、王司が横に来たときの『近い!』ってセリフは現場で咄嗟に出たものが採用されたんです」
川村「あの『近い!』って何度も言われるところはおもしろいよね(笑)」
小芝「普段の川村さんとのギャップもありますからね。女の子にしがみつくこともないでしょ?」
川村「ない、ない(笑)」
小芝「だから、しがみつかれたときの力もめっちゃ強くて。川村さんは空手を習っていたみたいだし、そういう普段は護る側の人がビビりなのがおもしろいんですよ」
川村「真逆のキャラだからね。でも、試写で『これは自分じゃない』と思いながら客観的に観ていたら、ちょっとダサくておもしろかった。」
小芝「監督から撮影中に、『カッコいいのは一切いらないから』って何回も言われていたよね」
川村「言われた、言われた」
――突然現れたウェイトレスに驚いて、飛び上がる王司もおもしろかったです。あれは川村さんの身体能力だからできたことですよね。
小芝「確かに、あそこは身軽だった(笑)」
川村「本当にこけたりしているからね」
小芝「ちゃんと受身を取りながら」
川村「(『HiGH&LOW THE WORST』シリーズなどで)殴られ慣れていて、痛みを軽減させる方法や身体のかわし方を熟知していたから、あそこも思いっきり、ガチのリアクションで頑張りました」
――小芝さんも、テレビ局のシーンで着ぐるみに驚くシーンがありました。
小芝「ああいうのも台本にはなくて、現場で急に『驚いてください』って言われるから、それまで動じない性格だと思っていた文華のキャラがだんだんわからなくなって。大学の教室を出た時に、先生がいきなりいて驚く描写もその場で足されたものでした。こういうところで驚いていいんだと思ったし、最初に考えていた文華がちょっとずつ崩れていきましたね」