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「ONI」堤大介監督と岡田麿里にインタビュー!2人が心を寄せた、“はじかれ者”としての鬼

インタビュー

「ONI」堤大介監督と岡田麿里にインタビュー!2人が心を寄せた、“はじかれ者”としての鬼

「シーンは二転三転しても、食べるシーンは絶対に入れてくださいと岡田さんにもお願いして」(堤監督)

――おなりとカルビンが、サンドイッチを食べるシーンは3DCGでは難易度の高い食事シーンが見事に表現されていました。

堤「そこを聞いていただけるのは本当にうれしいです。聞かれないと報われないほど苦労したところなので(笑)」

岡田「最初はハンバーガーショップという設定だったんですよね」

堤「脚本を練っていく段階で、シーンは二転三転しても、食べるシーンは絶対に入れてくださいと岡田さんにもお願いして。ドラマ的にも大事ですし、映像的にもピーナッツバターがどろんとあふれるところとか、本当においしそうにできました。食事のシーンでいうと、第1話のおなりとなりどんの朝ごはんに納豆が出てくるんですけど、あの納豆もCG史上、あそこまで納豆にこだわった作品はないと思います(笑)」

【画像を見る】「CG史上、あそこまで納豆にこだわった作品はないと思います」と監督が語る、粘り気たっぷりの納豆に注目!
【画像を見る】「CG史上、あそこまで納豆にこだわった作品はないと思います」と監督が語る、粘り気たっぷりの納豆に注目![c] 2022 Netflix

「出来上がった映像はすさまじいクオリティでしたが、スタッフの体温をしっかり感じられました」(岡田)

――岡田さんは、出来上がった映像を見てどうでしたか?

岡田「『ONI』はシナリオ作業だけでなく、すべてのことをすべてのスタッフで共有する感じで進むのがすごく印象的でした。私が書いたシナリオを一度英語に直すんですが、そこで変わる時も、その内容を共有してもらっていたんです。映像もアニマティクス(3DCGでラフな動きをつけた動画)の段階から見せてもらって、感想を取り入れてくれて。逆にシナリオにたいしても、いろんなスタッフが意見をくれて。それが、様々な視点があって本当におもしろいんです。出来上がった映像はすさまじいクオリティでしたが、スタッフの体温をしっかり感じられました」

なりどんの弟で風神の風太郎が、おなりの夢を導いていく
なりどんの弟で風神の風太郎が、おなりの夢を導いていく[c] 2022 Netflix


――印象に残ったシーンはどこでしょうか?

岡田「第1話でおなりがカラスの鳴きまねをする、夕暮れ時のシーンです。最初に見せてもらった時に衝撃でした。今回、ハリウッド流ではない私のシナリオの書き方でいいんだろうか、という不安もあったんですが、思い切ってやろうと思ったシーンの一つがあそこでした。重要度は低めで、カットされてもおかしくないシーンなのですが、おなりとなりどんの関係性を説明台詞なしで描きたいなと。そこをすごくちゃんと認めてくださって、しっかり尺を取って映像化してくださって。それがすごく美しい、幸せなシーンになっていてうれしかったです」

美しい夕焼けの光…おなりとなりどんが戯れる、多幸感のあるシーン
美しい夕焼けの光…おなりとなりどんが戯れる、多幸感のあるシーン[c] 2022 Netflix

――いよいよNetflixで配信が始まります。本作の制作を振り返ってみていかがでしたか?

岡田「近頃、『アニメーションを作るってどういうことだろう』という根本的なことを考えるようになっていたこともあり、すごく刺激を受けたお仕事でした。作り方に違いはあるけれど、本当に根本的なところはかわらないということを、堤監督やトンコハウスの作り方を見て実感でみましたね」

10歳の少女・おなりの成長譚としても見応えのある154分だ
10歳の少女・おなりの成長譚としても見応えのある154分だ[c] 2022 Netflix

堤「自分にはいま、10歳の息子がいるんですが、ジャパニーズ・アメリカンとしてそれを背負って暮らしています。おなりが10歳なのも、自分の息子が10歳の時に(作品が世に)出てほしいっていう思いも込めた作品です。自分はハリウッドでずっと仕事をしていますが、日本人であるという気持ちも当然ながらあり、完成した『ONI』はまず日本の人に見てほしいと思っています。その上で、日本人スタッフが多く関わった、日本を描いた作品として、世界の人に楽しんでもらえればうれしいです」

取材・文/藤津亮太

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