『ショーシャンクの空に』との意外な関係性も!「シャイニー・シュリンプス!」監督2人が語る続編制作の舞台裏
「コメディというジャンルを撮ることは、格闘技のリングに上がるようなもの」(ゴヴァール)
――この映画には“それぞれの場所で戦う”というメッセージがありますね。監督たちにとって、この映画を撮ることが“戦い”だったのでしょうか?
ゴヴァール「映画製作の現場は、確かに戦場です。とくにコメディというジャンルを撮ることは、格闘技のリングに上がるようなものです。エンタテインメントを構築しながら、深いメッセージを伝えたい。そんなことができるかどうかはわからないですが、とにかく挑みます。そのようなチャレンジをしているフィルムメーカーは僕らだけではない」
ル・ギャロ「兵役に就いたことはないけど、僕の名前、セドリックには“戦いの長”という意味があるらしいです。そういう点では、映画製作の世界で僕も率先して戦っているんでしょうね。映画製作というのは基本的に、2か月ほどで撮影したものを2時間程度にまとめることです。撮影時には天気も変わりますし、人の心も変わります。そのような変化に統一性を持たせることが監督の役割。そういう意味では、確かに僕は“戦いの長”かもしれないですね」
――フィルムメーカーとして、影響を受けた作品や監督について教えてください。
ゴヴァール「どれかひとつを挙げるのは難しいけれど、この映画に限れば『ショーシャンクの空に』の影響は受けています。クライマックスを見れば、理解してもらえると思います。また、『シャイニー・シュリンプス!』の1作目では『フル・モンティ』のような英国のコメディを目指したけれど、今回は米国製のコメディを目指しました。ハリウッド映画からの影響は避けられないですし、それらは僕の血肉になっています。一方でいまは、先に挙げた『パラサイト 半地下の家族』をはじめとする韓国映画や、イランの映画のような政治的な作品に刺激を受けていますね」
ル・ギャロ「ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の『ショートバス』が大好きです。とても自由で、オリジナリティにあふれています。“こういうふうに生きていいんだ”と思わせてくれるし、“こういうふうに映画を作っていいんだ”と信じさせてくれました。僕のセクシュアリティの点でも、この映画は大きな意味を持っていたと思います。また『ショートバス』は作り方も独特で、出演したい人を公募するという独特の手法をとっていました。それは既存のルールに縛られる必要はないということを、僕に教えてくれたんです。監督では、ペドロ・アルモドバルが大好き。フランスの映画監督は派手な演出をバカにされるのがイヤで、それを避ける傾向にあるけれど、アルモドバル監督の映画はそんな遠慮がまったくない。すばらしいことです」
取材・文/相馬学