松村北斗、大ヒット中の『すずめの戸締まり』で「新海監督に魔法をかけてもらい、自分の声が好きになれた」
『君の名は。』(16)、『天気の子』(19)で知られる新海誠監督の3年ぶりの最新作『すずめの戸締まり』(公開中)は、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる「扉」を閉めていく少女、鈴芽(すずめ)の解放と成長を描く冒険物語だ。すずめと共に旅をする“閉じ師”の青年、宗像草太を演じるのは、オーディションで抜擢された松村北斗。初号を鑑賞したばかりでまだ興奮冷めやらず、「(感想を)言葉にするのは本当に難しいです」と戸惑いも見せていた彼に、本作に参加したことへの“想い”を語ってもらった。
「新海作品への評価の根源にあるのは、制作側の熱量」
松村の演じる草太は「旅の青年」として登場し、ひょんなことから「小さな椅子」に姿を変えられ、すずめと一緒に日本各地の廃墟を訪れることになる。完成した作品を観て、松村は「やっぱり冷静には観られませんでした。観ている間、ずっと肘掛けをつかみ、肩を力ませていたのですが、上映が終わったあとは感極まってしまって…。でも、なにに対して感極まっているのかまだ整理ができていない状態です」と正直な心情を吐露した。ただ、観終わったあとの会場内に熱気が満ちていたことを強く感じたという。「自分のなかから溢れるものと同じような熱を、作品を観ていた人たち全員から感じられて、目頭が熱くなりました。27歳にもなって、なに言ってるんだと笑われそうですが、部活の3年生みたいな気持ちになりました。僕、部活やってなかったんですけどね(笑)」。
本作について、映画館で観るべき作品としながらも「ストーリーを追うだけなら、小さい端末で観ても印象は変わらないのかもしれませんが、やっぱり映像と音響の差はあると思います。僕はテレビで観る映画も映画館で観る映画も好きなので、どっちがいいかと訊かれたら難しいですが、作品に注がれた熱や細部までのこだわりは、ぜひ映画館の大きなスクリーンで感じてほしいです。ただ、新海作品のストーリーや映像のすばらしさは、どんなかたちで観ても感動を与える物語になっているとも感じています。新海作品を観て『感動した』『おもしろかった』と表現される根源にあるものは、実は作品に注がれた制作側の熱量なのかもしれないと、完成した本作を観て感じました」と新海監督作品への評価についての持論を語った。
感想を言葉にするのが難しいと話した松村が、試写後に最初に口にしたのは「(作品のことが)すごく好き」という気持ちだった。「上映後に新海監督の挨拶があり、僕と原さんが前に呼ばれて挨拶することになって…。感想がまとまらない状態で、なにを言ったのかきちんと覚えてないけど、新海監督のこと、すずめを演じた原さんのこと、作品のこと、その場で一緒に初号を見てくれた人のことを『好きだな』という思いに溢れながらしゃべっていたことだけは覚えています。前に立って挨拶していることに違和感を覚えながらも、プロモーションを任されている立場でもあるので『すべての魅力が伝わるようにがんばります!』というような宣言をしました」と初号試写直後の心境を丁寧に教えてくれた。