のん&門脇麦が語り合う、姉妹として暮らした「天間荘」での日々「あったかい瞬間もたくさん!」
「たまえは『あまちゃん』のアキちゃんっぽいと思いました」(のん)
――『天間荘の三姉妹』の原作コミックに登場する“たまえ”は、のんさんをイメージして描かれたそうですね。ご自身ではどう感じましたか?
のん「『あぁ、(自分)っぽいぽい!』と思いました(笑)。『あまちゃん』のアキちゃんのようなキャラクターで、髪型も同じだったので。『天間荘の三姉妹』は、シリアスな題材をファンタジーの世界に落とし込んで、亡くなった方の視点から遺された方たちを見つめる物語になっているところが、すごく素敵だなぁと思いました」
門脇「たしかに。こういったシリアスな題材を扱いながらも、あったかくて楽しい瞬間もたくさんあるファンタジー映画って、いままであまり観たことがないような気がします。“三姉妹の次女”という設定も私にはとても新鮮で。私が演じたかなえは原作の二つの役柄がミックスされていて、旅館の経営にほとんど関わらない、イルカのトレーナー役だったんです」
――門脇さんものんさんも技を披露されていましたが、イルカとのお芝居はいかがでしたか?
門脇「トレーナーさんが想像以上にイルカに厳しく接している姿が、すごく参考になりました。というのも、イルカが好きすぎるとトレーナーをやらせてもらえないらしくて。私はそれほど思い入れがなかったのが、かえって良かったのかもしれません(笑)。つい可愛がりたくなっちゃうんだけど、イルカが技を間違えたときは絶対に餌をあげちゃいけないんです。餌がもらえるとそれが正しいと思って覚えてしまうから。イルカは餌をもらえれば頑張ってくれるんですが、実は視力がそれほど良くなくて。ボヤ~っとしか見えていないから、トレーナーさんの顔ではなくて、手の動かし方やサインの出し方で見分けているみたいで」
のん「よく似たサインを続けて出すと混同して同じことを繰り返してしまうので、全然違うサインを挟んでから、もう一回そのサインに戻ったり…。その塩梅が難しかったですね。私はイルカのお腹に乗る『腹上ライド』を練習していたんですが、めちゃめちゃ難しかったです。周りで見ている人たちは『もうちょっとイケるんじゃない?』みたいな空気を出してくるんですが、『いやいや、こっちはすごいことやってんだからなー!』って(笑)」
門脇「私はひたすらイルカの背中に立つことに特化した練習をしていました。イルカは頭がいいからこそ、『ここは手を抜いても大丈夫』って思うとすぐにサボるから(笑)、どんなときでも常に強気な姿勢で向き合うことが大事なんです。『私はトレーナーです!』っていう気持ちが欠けると手も見てくれないし、サインを出しても一切動いてくれなくなるので」
のん「『フンッ!』って顔しますよね。『なんだかツレないね、今日の君は』みたいな(笑)」
門脇「技ももちろん難しいんですけど、イルカと呼吸を合わせることに一番苦労したかもしれません。『行ける?』『あ、こちらも行けます』『じゃあ行きましょう!』って。そこを無理矢理突破しようとしてもうまくいかないんですよ。天候に左右される作品は数多くあるけど、この映画はイルカの機嫌に左右された作品と言っても過言ではないかもしれません」
――三姉妹の長女、のぞみ役の大島優子さんと共演された感想は?
門脇「アイドルグループのセンターを張っていた方だけあって、肝が据わっていて本当に貫禄がありました。今回はお着物の場面も多かったのですが、とっても綺麗でお似合いで。『お姉ちゃん!』って感じでした。私はずっとお姉ちゃんが欲しかったのでうれしかったですね」
のん「エンターテイナーですごく素敵な方だったから、現場のみんなのことを本気で楽しませてくださいました」
――寺島しのぶさんと永瀬正敏さんなど、ほかの共演者の方もとても豪華ですよね。
門脇「以前もご夫婦の役で共演されていたみたいで、お二人の相性もバッチリでした。しのぶさんは劇中で結構パンチのある髪型と衣装をされているのですが、あの格好が似合うのはもはやしのぶさん以外にいない。撮影終盤で『最近カツラが頭にフィットしすぎて、カツラに命を吸われている気がしてきた…』と言っていたくらい、とてもお似合いでした(笑)」
のん「永瀬さんもチャーミングな方で、ユーモア好きでおどけられていて楽しかったです」
門脇「すごくおしゃべり好きな方だったよね」
のん「はい。常にカメラをお持ちで。『わぁ、カマキリも撮るんだ!』と驚きました(笑)」