森崎ウィンが明かす、スピルバーグ作品の“魔法”が生まれる現場。40周年『E.T.』に感じた「普遍的な友情の喜び」

インタビュー

森崎ウィンが明かす、スピルバーグ作品の“魔法”が生まれる現場。40周年『E.T.』に感じた「普遍的な友情の喜び」

「役者もどんどん楽しくなっていくのが、スピルバーグ監督の現場」

森崎にとって転機となった『レディ・プレイヤー1』
森崎にとって転機となった『レディ・プレイヤー1』[c]Everett Collection/AFLO

「アイデアの天才だなと思います」とスピルバーグ監督の手腕に改めて舌を巻いたという森崎だが、現実とVR世界を行き来し、新たな未来を掴み取るための冒険を繰り広げる若者たちを描いた『レディ・プレイヤー1』では、オーディションを経て、メインキャストのダイトウ役に抜てきされた。“スピルバーグ監督のもとで演技をする”という、夢のようなチャンスを手にしたのだ。なんでも事務所からオーディションに送りだされた時は、「某ハリウッド映画」としか聞かされていなかったという。

スピルバーグ監督の温かなオーラについて笑顔で語った
スピルバーグ監督の温かなオーラについて笑顔で語った撮影/河内彩

森崎は「当時は、日本でも俳優としてそんなに芽が出ていたわけでもないですし、たくさんの芝居経験があるわけでもない。絶対に受かるわけがないので、いつかハリウッドに行けるように『下見をしに行くぞ』というくらいの気持ちでした」と述懐。二次審査を受ける直前にスピルバーグ監督作品であることを知ったそうで、ロサンゼルスで行われたオーディションでついにスピルバーグ監督と初対面を果たした。その感想を聞いてみると「緊張していて、ほとんど記憶がありません」と照れ笑いを見せつつ、「ものすごく偉大な方なのに、僕のような若者に対しても、同じ目線で話してくれた。『頑張って、ここまで来たね』という笑顔で迎えてくれました」と温かなオーラに包まれたと打ち明ける。

その結果、森崎は見事オーディションに合格し、実際に撮影が始まると「スピルバーグ監督の懐の深さを感じることばかりだった」と感謝しきり。

森崎が演じたダイトウは侍のアバターを使う役どころ
森崎が演じたダイトウは侍のアバターを使う役どころ[c]Everett Collection/AFLO

「カメラの前に立って監督の演出を受けるとなった時に、『もう少しだけアゴを下げて』などミリ単位で役者に動きを指示する場面がありました。一つ一つのカットを撮っていくのは速いんですが、ものすごく細かいところまでこだわりを込めて、シーンを作っていくんです。そんななかでも印象的だったのが、スピルバーグ監督は、役者にいっさいプレッシャーをかけないということ。『君を選んだのは僕だよ』というスタンスで、役者のことをとても信頼してくれる。僕が演じたダイトウは侍のアバターを使っている役柄でもありますので、僕から『侍だったら、こういうことをするかもしれない』とアイデアを出すこともありました。するとスピルバーグ監督は『そうか、じゃあそのパターンも撮っておこう』と柔軟に受け入れてくれて、そのカットが実際に使われることもあって。ものすごく壮大なスケールの映画を作りながらも、周囲の意見までをしっかりと聞いてくれるんです。そういった寛容さが、彼の映画には注ぎ込まれているように感じます」と実感を込めながら語る。

生の反応をどんどん取り入れていく現場でもあったそうで、「台本も日々、変わっていきます。毎日、ものすごい厚さの差し込み原稿をもらうんです!」と楽しそうな笑顔。ダイトウの放つ劇中の名言「俺はガンダムで行く」というセリフも、「もともとの台本には英語で書いてあって、括弧付で『Japanese』と記してありました。『もしかしたら日本語になるかもしれないから、準備しておいて』という感じだったんです」と、毎日なにが起こるかわからない現場だったのだとか。


スピルバーグ監督のクリエイティブな発想に、大きな刺激を受けたという
スピルバーグ監督のクリエイティブな発想に、大きな刺激を受けたという[c]Everett Collection/AFLO

森崎は「スピルバーグ監督は、役者の演技を見ながらストーリーを変えていったりもするんです。活字で書いてあるものと、実際に現場で動いてみたのとでは、想像していたものと違ったということもありますよね。するとスピルバーグ監督は『じゃあ、こうしてみよう』と変化をつけていきます。そういった時にも僕らの考えも聞いてくれるので、こちらとしても『一緒に映画を作っている一員なんだ』という責任感や、『もっとこんなこともやってみよう』という意識も生まれる。役者もどんどん楽しくなっていくのが、スピルバーグ監督の現場だと思います」と現場に流れる特別な熱気について吐露。「スピルバーグ監督は、とにかく映画と人間が大好き。映画を撮りながらワクワクしている監督を見ていると、こちらも一緒にワクワクしてくるんです」と回想しながら、思わず笑顔がこぼれる。

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