森崎ウィンが明かす、スピルバーグ作品の“魔法”が生まれる現場。40周年『E.T.』に感じた「普遍的な友情の喜び」
「孤独や友情、普遍的な感情が描かれているから、『E.T.』は愛され続けている」
スピルバーグ監督作品にあふれる躍動感の秘密を明かした森崎だが、『E.T.』と『レディ・プレイヤー1』に共通することは、「見たことのない世界を見せてくれること」だと分析する。
さらに「大人も子どももワクワクするようなものでありながら、どちらも“現代社会に対する問いかけがある”という点も共通していると思います。『E.T.』と『レディ・プレイヤー1』ならば、見た目や違いを乗り越えていくというメッセージも込められていますよね。スピルバーグ作品は、まるでスーパーボールのような、軽くて小さな玉をいっぱい僕らに投げかけてくれているようで、観終わってみると、たくさんの映画愛やメッセージ性を受け取っていることに気づく。入口はライトですし、ワクワク感にあふれているけれど、そのなかには考えさせられるポイントがたくさんあって。それは大きな魅力かなと感じています」と持論を語る。
40周年を迎えてもなお愛され続ける『E.T.』の魅力をひしひしと感じたというが、“人間の内包する孤独感”に寄り添ってくれることが、本作が語り継がれていく理由ではないかと思いを巡らせる。「『レディ・プレイヤー1』の主人公ウェイドもそうですが、エリオットは孤独を抱えた男の子でした。どんなに科学が進歩したとしても、人間が感じる孤独感や、友人を得た時の喜びなどは、いつの世も変わらない普遍的な感情なんだと思います。スピルバーグ監督作品は、いつもそこを刺激してくれる。だからこそ、40年経っても共感を集め続けているんだと思います」とコメント。「僕、9つも歳の離れた弟がいるんです。もしかしたら『E.T.』を観ていないかもしれない。新作として楽しめるかも!」と弟との映画鑑賞を期待しながら、目尻を下げる。
穏やかな笑顔を絶やさず、真摯に胸の内を語りながらインタビュー部屋を温かな空気でいっぱいにしていた森崎。映画愛と人間愛に満ちたスピルバーグ監督と仕事を共にしたことは、彼にどんな変化をもたらしたのだろうか?
森崎は「いろいろな変化を与えてくれました」と切りだし、「やっと少しずつ自分の名前を知っていただけるようになりましたが、いまでも『僕は芸能界、役者に向いているんだろうか』と悩む時もあります。でもスピルバーグ監督の現場を経験させていただいたことで、『続けていいんだよ』と言ってもらえたような気がしていて。『いつかまたハリウッドに』という想いも芽生えました」と告白。
「20代前半などは『自分にはなんでもできる』と強がったりすることもありましたが、世界を舞台に戦うキャストやスタッフのすごさを目の当たりにして、自分の無力さを痛感させられた部分もあります。“できない”ということをちゃんと認めて、“謙虚に努力すること”の大切さを教えてもらったように思います。それは僕にとって、大きな変化でした」とスピルバーグ監督作品に励まされながら、これからも走り続ける。