台詞を覚えない主演俳優、マフィアによる妨害…公開50周年『ゴッドファーザー』にまつわる仰天エピソード
名作映画の裏側には、時には想像を絶するような驚愕のエピソードがつきもの。公開から50周年を迎えた世紀の名作『ゴッドファーザー』もまた、マフィア絡みのトラブルなど完成まで茨の道を歩んだ一作だ。そんな『ゴッドファーザー』制作の裏側を、プロデューサーのアルバート・S・ラディを主人公に描いたドラマ「ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男」がU-NEXTでの配信に加え、11月からはスターチャンネルで放送中。ここでは『ゴッドファーザー』にまつわる様々なエピソードを紹介していきたい!
爆発的に売れた原作小説は金のために書かれた!
聖書に次ぐと言われるほどの大ベストセラーとなった「ゴッドファーザー」。この小説は、それまで純文学的な作品を生みだし高い評価は得つつもまったくヒットには恵まれず、それでいて無類のギャンブル好きという借金まみれのマリオ・プーゾが金のために執筆した1作だ。
とはいえ遅筆かつ金遣いの荒いプーゾは、出版社に未完の原稿を渡して手にした金もすぐに溶かす始末。破格の安さにもかかわらず映画化の権利をパラマウントに売るなどして金を工面しながらなんとか書き上げると、これが大ヒット。売上だけでなく評価も高かったためプーゾは、もっといいものにしておけばと後悔すらしたとか。
そんなプーゾはラディから脚本を依頼されるが、このオファーも「遅筆の小説家には映画の脚本は書けない」という当時の風潮からは異例のものだった。ちなみにプーゾは、ドン、ヴィトー・コルレオーネ役はマーロン・ブランドしかいないと考えており、自らコンタクトをとるなどキャスティングにも尽力している。
映画化権が売られていたかも?無茶振りから始まった企画
当時、失敗作が相次いでいたパラマウント。その損失を埋めるため、『ゴッドファーザー』の映画化権も売りに出されそうになっていたが、勝機を見いだした制作部トップのロバート・エヴァンスは400万ドルという低予算での製作を決定する。
そんな無茶とも言える企画で白羽の矢が立ったのが、新米プロデューサーのラディ。大スターのロバート・レッドフォードを超低予算映画『お前と俺』(70)に出演させた経験を買われたラディだったが、同時に『お前と俺』は興行的には失敗していたため、この断れないオファーに挑むことになった。
ガチのマフィアによる妨害!その打開策とは…?
作品に登場するジョニー・フォンテーンが自分をモデルにしているため映画化を邪魔したいフランク・ シナトラによる手回しや、イタリア系への偏見を助長するという理由からNYのマフィアたちは「イタリア系アメリカ人公民権同盟」という団体を立ち上げると、各方面に圧力をかけ、ロケ地を使わせないなどして映画化を妨害していく。
これで窮地に追い込まれてしまうラディだったが、なんとマフィアの大物ジョー・コロンボと直接会うという大胆な行動に。そして“マフィア”という言葉を劇中に登場させないという条件で映画製作を認めさせた。
アル・パチーノのためデ・ニーロが出演を断念…!
マフィアに加えて映画製作の障害となったのが、パラマウントの親会社ガルフ・アンド・ウエスタン・インダストリーズの経営陣。映画で金を稼ぐことを第一に優先する彼らは、マーロン・ブランドがトラブルメーカーで金を稼げないと考えるなど、キャスティングに関しても上から口を出していく。
特にコッポラが熱望したマイケル・コルレオーネ役のアル・パチーノについては、当時無名だったことを理由に猛反対。そんな噂を聞きつけたパチーノはMGMの別のギャング映画と契約してしまうが、『ゴッドファーザー』にポーリー・ガットー役で出ることが決まっていたロバート・デ・ニーロがその映画に出演することでなんとか解決した。