「チェンソーマン」も話題!「呪術廻戦」「進撃の巨人」「ユーリ!!! on ICE」を手掛けてきたMAPPAの10年と魅力に迫る
スピード感あふれる戦闘シーンや、細部まで描き込まれた緻密な作画で人気のテレビアニメ「チェンソーマン」。制作を手掛けている株式会社MAPPA(マッパ)は、名作『この世界の片隅に』(16)をはじめ、「呪術廻戦」や「進撃の巨人 The Final Season」、「ユーリ!!! on ICE」など数多くの人気作や話題作を手掛けてきたアニメ制作スタジオだ。昨年設立10周年を迎え、さらなる飛躍を続ける同スタジオの作品を改めて考察してみたい。
様々なジャンルの作品をハイクオリティに仕上げる確かな技術力
MAPPAは、マッドハウスで多くのヒット作を生みだしたプロデューサーの丸山正雄が、片渕須直監督の『この世界の片隅に』を世に送りだすため2011年に立ち上げた。2016年から大塚学を社長に、本社のある東京だけでなく、仙台、大阪にもスタジオを設立。制作工程を専門化させ、フリーランスのクリエイターを積極的に起用するなどして、世界観のまったく異なる作品を高いクオリティで数多く制作することを可能にした。また、作画に定評があり、「呪術廻戦」「進撃の巨人」「チェンソーマン」といった、原作の持つタッチや世界観を損なうことなく、物語に漂う空気感さえも落とし込んでいる。
そんな人気コミックを数多くアニメ化してきたMAPPAの第1号作品(手塚プロダクションとの共同制作)となったのが、1960年代の長崎を舞台に、ジャズに傾倒する高校生たちの青春を描く「坂道のアポロン」。音楽もののアニメは演奏シーンの描写が難しいとされるが、指の動きやスタジオに充満する熱気などがリアルに表現されており話題を集めた。また、ギャンブルの強さによって学内での優劣が決まる名門校が舞台の「賭ケグルイ」では、ギャンブルの手に汗握る緊張感や、味方をも欺かんとするキャラクターたちの不敵な表情が、アニメーションでも見事に表現されていた。
描画のあまりの細かさからアニメ化は不可能と言われていた「ドロヘドロ」もMAPPAが制作を担当した。同作は、魔法とスチームパンク、ホラーが融合したような世界観を持ったダークファンタジー作品。おどろおどろしさがありながら、緻密でスタイリッシュなテイストでファンが多く、アニメではテレビ画面からあふれだす独特のムードが魅力的だった。
このように、他社が二の足を踏むような、マニアックでダークさがあふれる原作を手掛けることが多い印象のMAPPA。2018年には、1980~90年代にかけて別冊少女コミックで連載された「BANANA FISH」をアニメとして甦らせた。主人公であるアッシュ・リンクスたちの苦悩や悲しい運命を2クールにわたって放送。深夜アニメとはいえ、ストーリーのヘビーさに多くの視聴者が嗚咽した。ほかにも、「かつて神だった獣たちへ」や「平穏世代の韋駄天達」など、一筋縄ではいかない作品をいくつもアニメ化してきた。