『ブラックアダム』は“IMAX推し”!DC映画の歴史を変える、最恐アンチヒーローのパワーを全身で体感
最後まで気が抜けない!怒涛のジェットコースター・ムービーを全身で体感せよ
そして本作の最大の見どころは、なんといっても全編引っ切りなしに勃発するバトルシーンの数々。約2時間の上映時間のなかで、ありとあらゆるバリエーションのバトルが次々と繰り広げられていき、息つく暇もなく、アドレナリンは放出しっぱなし!
古代の遺跡からよみがえってきたブラックアダムが、現れた無数の敵を目にも止まらぬ速さで成敗していく序盤の痛快なシーンに始まり、闘いはカーンダックの入り組んだ街のなかに舞台を移していく。狭いアパートメントの建物内で、階段を使って戦っていたかと思えば、たちまち開放的な屋外へと移動していくチェイスシーンなど、視覚的なおもしろさが盛りだくさんで、ヴィジュアル派の鬼才と呼ばれるジャウマ・コレット=セラ監督の手腕に脱帽してしまった。
『ジャングル・クルーズ』(21)でもジョンソンとタッグを組んだコレット=セラ監督は、キャリア初期にはMVを手掛けており、これまでメガホンをとった長編作品でも映像表現を駆使して映画ファンの支持を得てきた。まるでアメコミの良さをそのまま映画のスクリーンに置き換えたようなハイテンポさと贅沢なバトルシーンには、彼の映像センスがこれでもかと発揮されている。ブラックアダム vs JSAに留まらず、さらなる強敵の出現や、まさかのキャラクターの登場など、最後の最後まで瞬きは禁物だ。
またキャラクターのディテールやバトルだけでなく、物語の舞台となる架空の街、カーンダックの作り込みも必見のポイントの一つ。美術制作チームは作品の雰囲気にあった中東の地域の文化だけでなく、世界中のさまざまな場所からヒントを得て、独自の世界観を構築。もちろんDCコミックの神話も徹底的にリサーチし、真実味を持ちながらもバトルが大いに映える街並みを作りだした。こちらもIMAXの大スクリーンで細部まで味わってほしい。
そしてこの『ブラックアダム』は、これまで様々な作品が作られヒットを記録してきたDCユニバースにとって大きな転機になる作品でもある。サンディエゴ・コミコン2022においてジョンソンは、本作をきっかけに「DCユニバースが大きく変わる」と豪語。本作をきっかけに本格的に始まるDC映画の“マルチバース(=多元宇宙)”化は、今後のDC映画をより驚きに満ちたものへと進化させていくことだろう。
本作のあとも『シャザム!~神々の怒り~』(2023年3月17日公開)など、多数の注目作が控えているDCユニバース。今後の展開に期待しながら、まずは最恐の破壊神ブラックアダムの初陣を、最大限に味わえるIMAXで見届けてほしい!
文/久保田 和馬