パリ留学中の和田彩花が語るフランス映画の醍醐味「作られた場所の文化や歴史、作り手のルーツなどが組み合わさっている」

インタビュー

パリ留学中の和田彩花が語るフランス映画の醍醐味「作られた場所の文化や歴史、作り手のルーツなどが組み合わさっている」

映画ファンのための“ここでしか観られない”作品の数々を発信する動画配信サービス「スターチャンネルEX」。現在、“あなたの知らないフランス映画祭”と題して、日本初公開&初配信となる19本の新旧フランス映画を一挙配信中だ。現地から直接買いつけしてきた作品を多数含むファンにはうれしい類まれな特集で、すでに配信している作品と本特集を合わせると、全56本のフランス映画を楽しめる絶好の機会となる。

日本初公開&初配信となる19本の新旧フランス映画を一挙配信する“あなたの知らないフランス映画祭”
日本初公開&初配信となる19本の新旧フランス映画を一挙配信する“あなたの知らないフランス映画祭”

そこで今回、アイドルグループ「アンジュルム」のリーダーとして活躍し、卒業後は芸能活動を続ける傍ら、西洋美術を学び、いまはフランス・パリに留学中の和田彩花が、本特集からおすすめの5作品を鑑賞。「パリにはミニシアターがたくさん集まっている地区があるので、それがすごくうれしいです。気軽に映画館に足を運んで、フランス映画をよく観るようになりました」と話す和田に、ピックアップ作品の見どころやフランス映画ならではのおもしろさ、パリでの生活についても語ってもらった。

和田彩花がフランス映画の魅力を語る
和田彩花がフランス映画の魅力を語る[c]YU-Mエンターテインメント株式会社

『野獣死すべし』「細かく説明しなくても、想像できたりする余白があるところが魅力」

まず紹介したいのは、ヌーヴェル・ヴァーグの旗手であり、“フランスのヒッチコック”と評された奇才、クロード・シャブロルの監督作『野獣死すべし』(69)。スターチャンネルEXで配信中のドラマ「ビースト・マスト・ダイ/警部補ストレンジウェイズ」と同じ原作にあたる、俳優ダニエル・デイ=ルイスの父で作家のニコラス・ブレイクの小説を映画化した傑作サスペンススリラーだ。

作家の主人公が息子をひき逃げした犯人を追うサスペンス『野獣死すべし』
作家の主人公が息子をひき逃げした犯人を追うサスペンス『野獣死すべし』[c]1969BRINTERCOLTD


車のひき逃げ事故により、最愛の幼い息子を亡くした作家シャルル・テニエ(ミシェル・デュショーソワ)。いつまでも犯人を見つけられない警察にしびれを切らした彼は、自ら犯人を捜し出し、復讐することを決意する。黒い手帳に殺人計画を綴りながら、独自の調査を進めていくなか、事故当日に怪しい車を目撃したという人物が現れる。その車に乗っていたのは、ある意外な人物だった。

「ヌーヴェル・ヴァーグを代表する監督の1人とのことだったので、最初は作家性の強い難解な作品なのかなと、ちょっと構えちゃったんですけど、ストーリーもしっかりあって、とても観やすかったです。あるひどい男と家族との関係とか、登場人物たちのキャラクターもすごくリアルに描きだされていました。その男が、詩を書いている妻や繊細な息子のことをバカにするシーンがあるんですけど、私自身アートや本が好きで、自分で詩を書くこともあるので、奥さんや息子さん寄りの気持ちで観てしまいました」と率直な感想を語る和田。

ニコラス・ブレイクの小説を映画化した『野獣死すべし』
ニコラス・ブレイクの小説を映画化した『野獣死すべし』[c]1969BRINTERCOLTD

「主人公のテニエが作家という設定なので、文学的な引用があるのもおもしろかったです。引用される言葉自体もすごくきれいで、文学好きな人が観ても楽しめるだろうなと感じました。あとは、テニエが亡き息子との幸せな日々を撮影したフィルムを見ているシーンもよかったですし、ところどころに挟まれる描写がすごく美しい作品でした。特に印象的だったのは、太陽の日差しに反射してキラキラ光る海の上を、ヨットが進んでいくラストシーン。細かく説明しなくても、そこに映っているものだけで、観ているこちらがいろいろ感じたり、想像できたりする余白があるところが魅力です」。

『ようこそ、シュティの国へ』「普段パリで聞いている言葉の発音と全然違って、めちゃくちゃ笑った」

続いては、19世紀から続くフランスの老舗映画会社Pathe(パテ)の日本未公開作品『ようこそ、シュティの国へ』(08)。南仏から、閉鎖的と言われる北部の街へ単身赴任した郵便局員と地元の人々との交流をユーモラスに描いたコメディドラマで、フランスでは歴代興収2位という大ヒットを記録。フランスの国民的コメディ俳優であり、自身もフランス北部出身のダニー・ブーンが監督と脚本を手掛けている。

フランス北部の町に赴任してきた郵便局員と地元の人々との交流を描く『ようこそ、シュティの国へ』
フランス北部の町に赴任してきた郵便局員と地元の人々との交流を描く『ようこそ、シュティの国へ』Bienvenue chez les chtis [c] 2008 LA PETITE REINE - PATHE FILMS - TF1 FILMS PRODUCTION - LES PRODUCTIONS DU CH'TIMI –CRRAV

南仏プロヴァンスの郵便局長フィリップは、地中海のコートダジュールに異動したいために不正をはたらくも、それがバレてしまい、北部の小さな街ベルグへ単身赴任させられることになる。北部は寒くて閉鎖的というネガティブなイメージを抱いたまま、嫌々その街で暮らし始めたフィリップだったが、北部の訛りの強い言葉や、特有の慣習に戸惑いながらも、地元の人々との交流を通して、しだいに北部の魅力に気づいていく。

「すごく気楽に観られる楽しい映画でした!北部の言葉って、普段パリで聞いている言葉の発音と全然違うんですよね。もうなにを言っているかわからないくらい発音が違っていておもしろかったです。めちゃくちゃ笑いました」と現地で暮らす和田ならではの感想が。その一方で、どの地域でも変わらぬフランスらしさを感じたのは、本作で描かれる“教会の鐘の音”だったという。

「ダニー・ブーン演じる郵便局員の青年が、教会の鐘を演奏するシーンが何度か出てくるんですが、実際にフランスに住んでいると、本当に朝からずっと教会の鐘の音があちこちから聞こえてきます。私も教会美術を鑑賞するためによく教会に行くので、鐘やオルガンの音が好きなんです。その響きをこの作品でも感じられたのがうれしかったですね」。

北部は寒くて閉鎖的という偏見や独特のアクセントがあることを、ブラックユーモアを交えて描く(『ようこそ、シュティの国へ』)
北部は寒くて閉鎖的という偏見や独特のアクセントがあることを、ブラックユーモアを交えて描く(『ようこそ、シュティの国へ』)Bienvenue chez les chtis [c] 2008 LA PETITE REINE - PATHE FILMS - TF1 FILMS PRODUCTION - LES PRODUCTIONS DU CH'TIMI –CRRAV

北部に対して偏見を持つ南仏の人たちと、個性的で人情に厚い北部の人たちとの人間関係、そしてすれ違っていた主人公と妻との夫婦関係が少しずつ変化していく様子にも胸がほっこり温かくなる。「日本でもきっと地域によって、雰囲気や人と人との温度感が違いますよね。特に外国の都市部じゃない、地方での慣習や文化を知る機会はなかなかないので、日本でこの映画が観られるのはすごくいいことだと思います」。

※映画会社「Pathe(パテ)」の「e」はアキュート・アクセント付きが正式表記

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