批評家が選ぶ、スティーヴン・スピルバーグ代表作ランキング!最新作まで“フレッシュ”なおすすめ10選

コラム

批評家が選ぶ、スティーヴン・スピルバーグ代表作ランキング!最新作まで“フレッシュ”なおすすめ10選

もっとも高い評価を獲得したのは『E.T.』で、99%フレッシュという圧倒的な高評価を獲得。孤独な少年エリオットと地球に取り残された宇宙人のE.T.が出会い、心を通わせていくさまを描いた本作は、それまでの“宇宙人もの”のSF映画の常識を覆す温かみにあふれ、まさに万人に愛されるタイプの作品といえるだろう。

【写真を見る】もっとも高い評価を獲得したのは、やっぱりこれ!スピルバーグのトップテンを紹介
【写真を見る】もっとも高い評価を獲得したのは、やっぱりこれ!スピルバーグのトップテンを紹介[c]Everett Collection/AFLO

劇場公開された40年前には『スター・ウォーズ』(77)が持っていた全世界興収記録を塗り替え、記録的なロングラン。日本でも15年以上にわたって歴代興収1位を守り続け、VHSのセールスでも新記録を樹立。公開20周年のアニバーサリー上映も含め何度もリバイバル上映が行われ、そのたび世代を超えて語り継がれてきた。まさにスピルバーグ監督を象徴する作品であり、この40年の映画界を代表する一作だ。

33本ある監督作のうち実に3分の1が91%フレッシュを超える高評価というのはさすがスピルバーグ監督だ。『続・激突/カージャック』(74)でカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した時から、その評価は高まり続け、いまもそのブランド価値は落ちる気配がない。しかも『ジョーズ』や『未知との遭遇』、『レイダース』などリストに入った作品はどれも代表作と言いたくなるような作品。おそらく映画ファンなら誰もが、それぞれの好きなスピルバーグ作品を持っているはずだ。

スピルバーグ監督作品で唯一、アカデミー賞作品賞に輝いた『シンドラーのリスト』
スピルバーグ監督作品で唯一、アカデミー賞作品賞に輝いた『シンドラーのリスト』[c]Everett Collection/AFLO

そんなスピルバーグ監督が映画界の最高の栄誉であるアカデミー賞を初めて受賞したのは『シンドラーのリスト』だった。第二次大戦下で多くのユダヤ人を救ったオスカー・シンドラーを描いた3時間を超える大作で、12部門にノミネートされ7部門を受賞。同作が公開された1993年には、サマーシーズンに公開した『ジュラシック・パーク』が大ヒットを記録。同年はまさしく“スピルバーグの年”といえよう。

その5年後に公開された『プライベート・ライアン』では、アカデミー賞で有力視されていた作品賞を逃したものの2度目の監督賞を受賞。これまで作品賞にノミネートされた監督作は12作品。近年もコンスタントに候補入りを果たしているのだが、今世紀に入ってからは作品賞も監督賞も受賞していないというのはちょっぴり意外なところだ。


マーク・ライランスがオスカーに輝いた『ブリッジ・オブ・スパイ』
マーク・ライランスがオスカーに輝いた『ブリッジ・オブ・スパイ』[c]Everett Collection/AFLO

その代わりに、91%フレッシュで並んだ『ブリッジ・オブ・スパイ』ではマーク・ライランスが助演男優賞を、直近の作品である『ウエスト・サイド・ストーリー』ではアリアナ・デボーズが助演女優賞を受賞。上位に入らなかった『リンカーン』(12)ではダニエル・デイ=ルイスが主演男優賞を受賞しており、スピルバーグ監督に導かれた俳優たちがオスカーを獲得するというかたちで、その確かな演出力が評価されている。

そして現在アメリカで公開されている最新作『フェイブルマンズ』(2023年3月3日公開)は、スピルバーグ自身の少年時代をモデルにして描かれた物語。公開前から非常に高い評価を集めており、来年発表される第95回アカデミー賞の大本命との呼び声も高く、スピルバーグ監督にとって29年ぶりの作品賞受賞の可能性も期待されている。監督デビューからもうすぐ半世紀で、『E.T.』から40年。常に進化を続ける巨匠のフィルモグラフィに、また新たな代表作が加わったようだ。

最新作『フェイブルマンズ』も高評価!スピルバーグが自身の少年時代を描きだす
最新作『フェイブルマンズ』も高評価!スピルバーグが自身の少年時代を描きだす[c]2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.

文/久保田 和馬

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