三浦透子、デビュー20年の歩み。順調なキャリアスタートは「コンプレックスでもあった」たどり着いた充実のいま
「“当たり前”に対して、違和感を覚えて生きてきた」
人間には恋愛感情があるのが当たり前、お年頃になったら結婚を考えるのが当たり前…など、佳純の周囲ではあらゆる“当たり前”がささやかれ、観客にとっても「当たり前ってなんだろう。普通ってなんだろう」と考えるきっかけをくれる映画でもある。脚本を読んだ段階で、三浦は「自分が漠然と考えていたことを拾い上げてくれている作品だ」と感じたそう。
「私自身、みんなが共有できる“当たり前”が理解できなかったり、“当たり前”に対して違和感を覚えて生きてきたような気がする」と打ち明け、「役者という、表現をするお仕事をしていると『恋愛をするといろいろな感情を学べる』と言われることもありますし、一般的には『恋愛をするときれいになる』という話もあったり。男女が並んでいるだけで『恋人なの?友達なの?』と決めつけようとしたり、些細なことで言えば『この血液型にはこういう人が多い』とカテゴライズすることもありますよね。私は、そういう話になるたびに『どうなんだろう?』と漠然と思っていたところがあって」と吐露。「本作は、『普通は一つではない』ということにじっくりと向き合えた作品になりました」としみじみと語る。
普通は一つではないからこそ、「家族や友達など自分にとって近しい人でも、そのすべてを理解できるわけではない。『理解しなきゃ』と思うことが、いびつな関係性を生んでしまう場合もある」とも。
「決してネガティブな諦めではなくて、私たちはそれぞれ違うかもしれないけれど『わかり合えない部分がある』ということを受け入れたら、みんな楽になれるし、思いやりのあるコミュニケーションが取れるんじゃないかと思うんです。大事なのは、自分とは異なる価値観を持つ人に対して、決してその存在を否定しないこと。それは私自身、今後も忘れないで生きていきたいです」と語り、悩みながらも一歩踏みだしていく佳純を清々しさと共に演じきり、「『ありのままのあなた、偽りのないあなたのままで、ちゃんと受け入れてくれる世界が絶対にあります』と、伝えられる映画になったのではないかと感じています」と胸を張る。