最速レビューをネタバレなしでお届け!映画のプロ10人は『レジェンド&バタフライ』はこう観た!
信長と濃姫の物語にこんな切り口があったか!うれしい驚きに心掴まれる
昔から散々描かれてきた信長と濃姫の物語にこんな切り口があったかと、冒頭からうれしい驚きに心掴まれる。有名な「敦盛」や信長の愛用した三脚蛙の香炉などのアイテム処理の仕方にいちいちくすぐられ、信長の歴代4つの城も一つ一つ再現して城・双六も楽しめる趣向。木村拓哉と綾瀬はるかによる信長と濃姫の激しく濃密な関わりはドラマティック。とはいえ2時間48分は長すぎやしないかと途中怖気づいたのも本音だが、クライマックスのそう来るかという展開は長く観てきた時間が報われるものだった。あらゆる先入観を華麗にひっくり返す達人・古沢良太の脚本とダイナミズムと緻密な知性を兼ね備えた大友啓史監督の組み合わせの妙味と勝利。
(映画ライター・木俣冬)
大友啓史監督の作品には、命がある。
決め打ちとアドリブ性の融合…。妥協を許さぬ作り込みを土台にして、瞬間の熱情を大胆に採り入れる豪気。肉体の躍動、魂の咆哮/彷徨に説得力が伴うのは、それが故であろう。本作は生粋のエンタメだ。だが、描かれるのは綺麗事ではない。天下獲りの夢物語を語らう若き夫婦が、悲願のためには他者の命をどこまでも犠牲にせねばならないと知った時―その血まみれの愛に、震わされている自分がいた。好意と狂気が絡み合う“情念”は「龍馬伝」「るろうに剣心」そして『影裏』に至るまで、大友監督の真骨頂でもある。どうしたって死と殺を美化してしまう創作の世界で、現実を手繰り寄せる手腕。見事でした。
(物書き・SYO)
水と油のようでいて、夫婦漫才のようにテンポよく、相性抜群!
公開前から話題騒然の『レジェンド&バタフライ』。同じ役を過去にも演じたことのある木村拓哉と綾瀬はるかの二人が戦国武将、織田信長と謎めいた彼の正室、濃姫の30年にわたる夫婦の絆を体現。敵同士として出会った二人が一緒の夢を追いかけるうち、次第に背負うものが大きくなり、互いを思いながら、素直になれずにすれ違っていく様がせつなく愛おしい。信長を一人の男として捉えて、その人生を生き抜いた木村と抜群の身体能力を活かして、姫で刺客の濃姫に扮した綾瀬は水と油のようでいて、初夜のシーンから夫婦漫才のようにテンポよく、相性抜群。それぞれの魅力がぶつかり合い、より一層、輝きを増す。
(映画ライター・高山亜紀)
信長と濃姫の悲しい純愛ラブストーリーである
数いる戦国武将のなかでひときわ高い人気を誇るのが織田信長で、これまでに20作を超える映画やドラマとなっている。だが本作の信長とその正室(妻)である濃姫とはこれまでと違う、新たな姿を魅せてくれる。信長が濃姫を正室として迎え入れる冒頭から違う。この2人の結婚は戦国時代にありがちな政略結婚であったが、お互いに惹かれているのに反発する。ツンデレである。前半はほぼ時代劇ラブコメ。演じるのが木村拓哉と綾瀬はるかで、これは新しい。やがて2人は互いが必要な存在となっていくが、最後は本能寺という悲劇へ向かっていく。ここでも本作はこれまでと違う2人を見せてくれる。本作は信長と濃姫の悲しい純愛ラブストーリーである。
(映画ライター・竹之内円)