最速レビューをネタバレなしでお届け!映画のプロ10人は『レジェンド&バタフライ』はこう観た!
信長&濃姫に関わった人物についても、もっと知りたくなる
信長&濃姫の最悪の出会いから共に同じ夢を見るまでの30年の心の動きをじっくり丁寧に描く。有名すぎる信長にはまだまだ知られていない一面があると知り、ますます惹かれてしまう。信長と濃姫が、歴史とは違う道を歩んでいたら?別の物語も見てみたいとワクワクさせられる、あまりにも魅力的な二人。そんな二人を取り巻く人々も超豪華。濃姫に付き従う福富平太郎貞家の献身、指の先まで美しい森蘭丸の所作、パッと見誰が演じているのか分からない徳川家康、さすがの存在感の斎藤道三、ミステリアスな明智光秀。信長&濃姫に関わった人物についても、もっと知りたくなる。
(映画ライター・タナカシノブ)
切り札がそろい、極上の映画体験を味わわせてくれる
やんちゃな10代、天下布武を掲げ魔王と化していく迫力、裏に秘めていた濃姫への深い愛情。数々の青春ドラマやラブストーリーで日本中を熱狂させ、冷徹なオーラを放つ教官に扮したドラマ「教場」で新境地を開くなど、ひたむきにスター街道を歩んできた いまの木村拓哉だからこそ演じられた信長の登場に心が震えた。綾瀬はるかはおっとりとした素顔も人気だが、常にストイックな俳優魂を心に刻んでいる点が大きな魅力。凛々しく気高い濃姫は、こういう綾瀬はるかが見たい!という願望が最大級の形で叶ったよう。大友啓史が生みだすリアリズム、古沢良太が仕掛けた見たことのない本能寺。切り札がそろい、極上の映画体験を味わわせてくれる。
(映画ライター・成田おり枝)
人斬り抜刀斎こと緋村剣心と雪代巴の姿が、信長と濃姫に美しく重なる
大友啓史監督は常に「いま」に向けて作品を放つ。日本を代表するトップスター、木村拓哉と綾瀬はるかと組んで信長と濃姫を描くこの歴史劇にも、大胆な解釈で最新の時代精神が吹き込まれる。男性優位の慣習を問い直す批評的な眼差し。本作が創出する信長と濃姫のパートナーシップは「ふたりでひとり」という運命的な絆だ。やがて信長は人から鬼になる。シェイクスピアの「マクベス」や「リア王」に近い世界。「負の連鎖」の巨大な歯車。おそらくロシアのウクライナ侵攻も大友の念頭にあったのでは。同時に「るろうに剣心」シリーズ―特に『~ 最終章 The Beginning』で鮮烈に描かれた、人斬り抜刀斎こと緋村剣心と雪代巴の姿が、信長と濃姫に美しく重なる。
(映画ライター・森直人)
大友監督をはじめとするスタッフ陣と木村&綾瀬らキャストたちの熱い想いが込められた『レジェンド&バタフライ』。その熱量は上記の面々の言葉からも受け取ってもらえるはず。何度も映像化されてきた信長と濃姫の物語が、いま再び映画化される意味とは?新たな視点も加えられた、本作の劇場公開を楽しみに待っていてほしい。
構成・文/サンクレイオ翼