世界各国の“ビール”映画を集めてみた!「キンキンに冷えてやがるっ」飲み過ぎ注意な魅力
おそらく一年中で一番、お酒の摂取量が増えるに違いない年末年始。忘年会や新年会をはじめ、家族や親戚とステイホームで、友人や恋人と外飲みなどで、楽しく乾杯をして笑顔になっているのでは?
たいていの場合、ビールで「駆けつけ1杯!」となるが、あの“枯れ地に水”状態で接種するビールの味わいは、なにものにも代えがたい至福感が。そこで今回は、飲兵衛が大好きなビールを飲みたくなる映画をいくつかピックアップ。「観ただけで酔っぱらう!?お正月に楽しみたい、飲み過ぎ注意のドリンキングムービー」と題して、日本映画はもちろん、各国から選りすぐりのビール映画をご紹介する。
“枯れ地に水”のご褒美ビールにうなる!
トップバッターを飾るのは、この秋に公開された『かもめ食堂』(06)などの荻上直子監督作の『川っぺりムコリッタ』(公開中&先行レンタル配信中)。松山ケンイチやムロツヨシが演じているのは、川べりにたたずむ古いアパート“ハイツムコリッタ”で、底辺の生活を送る住人たちだ。彼らにとって唯一の贅沢といえるのが缶ビールで、おいしそうに飲むその表情には、思わずのどが鳴る。
ちなみに舞台挨拶では、荻上監督自身がビール好きだということが判明。そのせいか同シーンの撮影で松山たちは、荻上監督から「久しぶりに飲むビールです!もっとおいしいはず!」と、何度もダメ出しをくらったことを明かし、会場の笑いを誘った
また、ご褒美ビールといえば、藤原竜也主演の映画『カイジ 人生逆転ゲーム』(09)で強烈なインパクトを放った“枯れ地に水”状態の飲酒シーンも忘れられない。
藤原演じる多額の借金を抱えるカイジが、強制労働の初給料を、うっかりかなりの高額である5000ペリカ(価値は日本円の約10分の1とされていた)のビールや7000ペリカの焼き鳥などにつぎ込んでしまう。「キンキンに冷えてやがる」とうなる藤原の熱演が秀逸すぎて、モノマネ芸人の恰好なネタにされてしまったが、個人的にはビールを飲む演技においては“永久欠番級”だと心から称えたい。
飲み過ぎ注意!振り切ったアメリカ発のコメディに大爆笑
ここからは、世界のビール事情もご紹介。日本では民法改正によって、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたが、法定飲酒年齢は20歳のままだ。ビールに関していえば、ビール大国であるドイツをはじめ、フランスやイギリスでは16歳で、オーストラリア、チェコ、デンマーク、ブラジル、シンガポール、ニュージーランド、ポルトガル、イタリア、スペインなどでは18歳から飲めるそうだ。
意外だったのは、飲み過ぎ映画の代名詞となった「ハングオーバー」シリーズを生んだアメリカの21歳だ。アメリカでは1970~75年までの一時期に、飲酒可能年齢が18歳に引き下げたが、70年の後半からほとんどの州が21歳に引き上げられたとか。そういう意味で同シリーズは、反面教師的な映画になったのかもしれない。
「ハングオーバー」シリーズといえば、飲みすぎてやらかした男たちのトラブルをおもしろおかしく描く爆笑コメディだ。1作目『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(09)と2作目の『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』(11)は、ラスベガスやバンコクでのバチェラー・パーティー(新郎が独身最後の夜を同性の友人と過ごすこと)の顛末を描いたもので、3作目『ハングオーバー!!! 最後の反省会』(13)は、因縁のギャングが絡む前途多難なロードムービーとなっている。
ブラッドリー・クーパー、スチュアート・プライス、ザック・ガリフィアナキスらの凸凹コンビも最高だが、特筆すべきは製作や脚本にも関わり、全シリーズを監督したトッド・フィリップスのずば抜けたコメディセンスだ。この酔っぱらいシリーズ3部作を潔く終わらせたあと、胸熱な人間ドラマである『アリー/スター誕生』(18)や『ジョーカー』(19)という秀作を世に放ち、これまた卓越した演出スキルを見せつけた。
ちなみに筆者としては「ハングオーバー」シリーズ3作の邦題がお気に入りで、回を追うごとに「!」の数が増えていくというナイスなアイディアにあっぱれ!を差し上げたい。