世界各国の“ビール”映画を集めてみた!「キンキンに冷えてやがるっ」飲み過ぎ注意な魅力
パブ文化が楽しい!イギリスが舞台の映画
イギリスが舞台の酒飲み映画といえば、やはり『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』(13)は外せない。本作は、サイモン・ペッグやニック・フロストらアラフォーのおじさんたちが、“ひと晩に5人で12軒のハシゴ酒”にトライしていくというクレイジーなSFコメディだ。パブをハシゴして、とことん飲んだくれる映画は、酒&映画好きからの支持率が高い。
また「キングスマン」シリーズでもパブのシーンをよく見かけるが、例えば1作目ではタロン・エガートン演じるエグジーと、コリン・ファース演じるハートが地元のパブで会うシーンで、ハリーはギネスビールを飲んでいる。
ギネスといえば、アイルランド発祥のビールだが、ジュディ・デンチが生き別れの息子を探すアイルランド人の主婦を演じた『あなたを抱きしめる日まで』(13)では、ギネスビールが絶妙な小道具として使われているのでご注目。
ほかにもある!各国を舞台にしたビール三昧の映画たち
ビール王国といえばドイツだが、伝統にしばられない自由なスタイルでビールを楽しめる国だ。日本でも毎年行われる「オクトーバーフェスト」は、ビール愛好家たちのマストイベントだが、そんなドイツのビールフェスをモチーフにしたとびきりオバカなコメディが、『ビール・フェスタ〜世界対抗・一気飲み選手権』(06)だ。
ドイツを訪れたアメリカ人兄弟が、オクトーバーフェストの期間中、密かに地下で開催されていた謎のビール早飲み大会に巻き込まれていくという設定自体がかなりツボ。ビール映画として、とことん振り切ったお下品さと過激さでは、ほかの追随を許さない(笑)。
劇中では、まるでブーツのようなグラスで飲み干すシーンが出てくるが、昭和世代なら名作ドラマ「男女七人夏物語」での楽しいやりとりを思いだすはずだ。また、ビールのタンクに落ちてしまうという命懸けのシーンもあるが、そのピンチを脱しようとする決死のシーンも見事に笑いに持っていくところに思わず拍手!
続いては、デンマークの至宝、マッツ・ミケルセンによるデンマーク発の酔っぱらい映画『アナザーラウンド』(20)も、おじさまたちの飲みっぷりに惚れ惚れさせられるコメディだ。
こちらは、ミケルセン演じる冴えない高校教師マーティンと同僚3人が、ノルウェー人哲学者による「血中アルコール濃度を一定に保つと、仕事の効率が良くなり、想像力がみなぎる」という理論を証明すべく、自らが実験台となり、飲んで飲んで飲まれて飲んで~と、とことん飲み続けていく…。
この酔っ払ったミケルセンがチャーミングかつセクシー!しかも、やっぱりお酒は適量にしたほうが人生は平和に過ごせるという教訓と哀愁も受け取れる懐の深い映画となっている。
また、北と南で異なるビール文化を持つべルギーからは、神様がブリュッセルのアパートに住んでいるという斬新な設定のベルギー映画『神様メール』(15)をセレクト。この神様はすこぶる素行が悪く、ビールとジャンクフードが大好きで、気に入らないことがあると、奥さんに八つ当たりをするというダメっぷりが新鮮(笑)。
やはりベルギーはビールがおいしすぎてそうなってしまったのか!?ある日、10歳の娘エアがその神様のパソコンから、人々に余命を知らせるメールを送ってしまったからさあ大変!余談だが、ベテラン女優カトリーヌ・ドヌーヴとゴリラのラブシーンに度肝を抜かれそう。
最後を締めくくるのはオーストラリアを舞台にした、『ランボー』(82)のテッド・コッチェフ監督作『荒野の千鳥足』(71)。タイトルからわかるように、酔っ払いが主人公の映画で、ビールやギャンブル、乱闘などで自らを破滅させていくというサスペンス映画となっている。
ちょっぴりアメリカンニューシネマっぽいテイストで、酒に溺れていく恐怖におののくが、ギラギラ照りつける太陽の下で、ラッパ飲みするビールがこれまたおいしそうなこと(笑)。これぞ、観終わったあとにビールを飲みたくなること間違いなしの鉄板ビール映画に認定しようぞ。
ということで、ビールをフィーチャーした映画をぜひよく冷えたビールとともに楽しんでいただきたい。でも、観ればますますビールをおかわりしたくなるので無限ループにはご注意を。とにかく2023年も楽しく飲んでいきましょう。乾杯!
文/山崎伸子