「“可愛い”の大渋滞」「何回泣かせる気だ」ARMYライターが『BTS: Yet To Come in Cinemas』を熱烈レビュー!
JINの美しい歌声に涙腺崩壊必至…
続いてはボーカルラインが「00:00 (Zero O'Clock)」を。前髪をあげた“ワールドワイドハンサム”なJINが、セットのバスの上に座りながら心を込めて歌う。その姿を見ているとどうしても、この釜山コンからわずか約2か月後に兵役へ行くこととなった彼に想いを馳せてしまう。恐らく大勢のARMYにとって、この曲は涙なしでは観られないのではないだろうか…?さらに後半のJINとJIMINの美しすぎる高音ハモリで涙腺が崩壊すると思う。2曲目は、スタンドマイクで披露した「Butterfly」。ジャケットを肩からずらして歌うVがまるで彫刻のようで美しく、目が離せない。会場全体をゆっくり見わたし、優しく微笑みながら歌うJUNG KOOKも印象的だった。
「UGH!」のイントロに合わせてSUGAが登場するやいなや、会場のボルテージはMAXに!続いてサングラス姿のRMとJ-HOPEが出てくると、あまりのかっこよさに思わず叫びたくなってしまう。スクリーン越しでは現地の熱気は体感できないはずなのに、3人のラップで会場が思いっきり熱くなったのが伝わってくる。それぐらい、3人の熱量が、迫力が、ハンパじゃない。本当にたった3人で歌ってる?そう思うぐらい、会場に轟く激しいラップ。儚く美しいボーカルラインのステージとのギャップにクラクラする。さらに「Cypher PT.3」でとどめを刺されること間違いなしだ。
メンバーの可愛さがたまらない!外せない“ハッピーソング3点セット”
シックなブラックコーデから爽やかでカジュアルな衣装に着替えてステージに再登場した7人が披露したのは、「Dynamite」「Boy With Luv」「Butter」。BTSをあまり知らない人でも聴いたことがあるであろう、そして聴くだけで幸せな気分になれるハッピーソング3点セットだ。ステージを右へ左へ自由に動きながら、ラフにダンスする7人が“様”になっている。「Dynamite」ではVとJINがフリーダンスを披露。2人のダンス姿が可愛いのはもちろん、それを嬉しそうに見つめているほかのメンバーも可愛い。「Boy With Luv」ではRMのラップパートになると、それまでバラバラにステージを動き回っていたメンバーがギュッとRMのもとへ集まるのも、大変可愛い。そう、この2曲は「可愛い」の大渋滞なのだ。そして「Butter」はBTSからARMYへ贈られたラブソング。もう何十回、何百回と見ているパフォーマンスなのに、「僕の後ろにはARMYがいる」のフレーズのところでいつも泣きそうになってしまう。J-HOPEのキレキレダンスにもぜひ注目していただきたい。
メンバーそれぞれの故郷について歌っている「Ma City」。この曲を故郷、釜山で歌えるJIMINとJUNG KOOKがとても楽しそうで、ステージをぴょんぴょんと飛び跳ねながら歌う姿にこちらまで嬉しくなる。「Ma City」はなんと言ってもSUGAの「俺が生まれたこと自体が大邱の誇りだ」が最高にかっこいい!「Ma City」という楽曲が生まれてから約7年。まさにその言葉は本物となった。
そして、「Dope」「FIRE」「IDOL」。このセトリの流れにとてもグッときた。まるでBTSが練習生だった頃から世界的“IDOL”になるまでの、歴史を辿るような楽曲構成だと感じたからだ。どんな意図があるかはわからないが、「Dope」の「お前がクラブで遊んでる時 一晩中仕事してたよ」という歌詞に、彼らがこれまで背負ってきた苦労や、血の滲むような努力を思う。そして、「現実がどうであっても気にせず、いまこの瞬間を楽しんで燃え尽きよう」という意味が込められている「FIRE」と、「どんな姿であれ、僕は自分とファンを愛している」と歌う「IDOL」。まるで7人の成長物語を見ているかのようだ。BTSはいつでもこうして、その当時の自分たちの考えや等身大の想いを歌詞にしてARMYに届けてきてくれた。だからこそ私たちの心に、痛いほど響くのだ。また、この日の「IDOL」はラストのカル群舞(一糸乱れぬダンス)が全力すぎて、スクリーンで観ていても圧倒された。
7人一列に並んで歌った「EPILOGUE : Young Forever」。ステージにギュッと集まる7人を見て、ここで何度目かの涙が流れる。本当に、何回泣かせる気なのだろうか…。メンバーも目を潤ませているように見えるのは、気のせいだろうか。ARMYへの感謝と前向きな気持ちが込められている「For Youth」をしっとりと歌い、ここで一度、釜山コンは幕を閉じた。
終わらないBTSの物語「僕たちの最高の瞬間はこれから」
アンコールは “ボラへカラー”(BTSを表す紫色)のお揃いのパーカーを着た7人が、「Spring Day」を情感たっぷりに。「Spring Day」はBTSがこれまでずっと大切に歌い続けてきた曲だ。ARMYもメンバーと一緒にメロディを口ずさみ、会場全体に美しい歌声が響き渡った。
ラストソングは「Yet to Come」。ARMYが一斉にスローガンをステージに向かって見せると、そこには「変化は多かったけど、変わりはない私たち Best moment is yet to come」の文字が。嬉しそうに近くへ行き確認するJUNG KOOK、JIN。Vはステージを降りて、ARMYのひとりからスローガンを受け取り、最後の最後まで離すことはなかった。
釜山コンの約2か月後、JINが兵役で軍へ入隊した。次はいつ7人全員が揃ったBTSを見ることができるのだろうか…?と、ふと寂しくなってしまう時もある。けれどコンサートでJ-HOPEが「いまは信頼が必要な時」と、RMが「僕たちをどうか信じてください」と言っていたように。JIMINが「30年後も40年後も!」と笑い、SUGAが「20年、30年経ってもこの場に立っている」と宣言してくれたように、BTSと私たちの物語はこれで終わりじゃない。「僕たちの最高の瞬間はこれから」なのだから。
文/紺野 真利子