最終話目前!「ガンニバル」に沼ったライター&編集部が語る推しポイント「日本で『こんなすごいことができる』と示した」
ディズニープラスの「スター」にて独占配信中の「ガンニバル」。柳楽優弥が主演を務め、『岬の兄妹』(19)、『さがす』(22)の片山慎三が監督、『ドライブ・マイ・カー』(21)の大江崇允が脚本を務めるなど、日本のトップクリエイターが集結したオリジナルシリーズだ。山間に位置し、外界から隔絶した供花村に赴任した駐在員、阿川大悟(柳楽)。「人が喰われているらしい」という恐ろしい噂が囁かれるこの村で、ある事件の捜査をきっかけとして、徐々に狂気の世界へ陥っていく。圧倒的クオリティと実力派ぞろいの俳優陣で贈る、野心的な本作の最終回がいよいよ2月1日(水)より配信開始に!このドラマにすっかりヤラれた映画ライターの須永貴子とSYO、編集部員らが座談会を実施。シリーズを振り返ると共に、これからドラマを観始めようとしている人に注目してほしい点や、最終回の見どころポイントを語り合った。
※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。
「世間の反応を見てみると、どうやら“ヤバイ”作品らしい」(SYO)
須永貴子(以下、須永)「まずは『ガンニバル』がドラマ化されると聞いた時の感想をそれぞれ振り返っていただけますか?」
SYO「ディズニープラスで配信ということで、ディズニープラスが日本国内のコンテンツを制作することに興味を持ちました。世間の反応を見てみると、どうやら“ヤバイ”作品らしいというのを知って、原作もすぐに読み始めました」
須永「読んでみていかがでした?」
SYO「率直に言うと、本当に実写化できるの?という感じでした。日本だけの資金で製作されたのかはわからないのですが、過激なシーンもありますし、国内バジェットでは難しそうな派手なアクションもたくさんあったので。一方で、監督がポン・ジュノさんにも師事した片山慎三さん、脚本も大江崇允さんということで、すごい作品ができるんだろうなという期待感もありました」
須永「スタッフロールを見ると、海外の方のお名前もあるので、仕上げなどは国外へ発注しているのかもしれないですね。別所さん、高橋さんはいかがでしたか?」
別所樹(以下、別所)「私はもともと原作を読んでいて、ディズニープラスのラインナップ発表会があった時に『ガンニバル』の名前があったので、とても驚いたことを覚えています。SYOさんもおっしゃる通り、センセーショナルな内容なんですよね。それに画力もすごくて…。実は、SYOさんには原作者の二宮正明先生へのインタビューも受けていただいたのですが、『見開きを描くのに5時間はかかる』とおっしゃっていましたよね」
SYO「そうでしたね。ページによりけりだと思いますが、描き込みの圧がすごいですから」
別所「なので、実写で映像化するって本当に想像できなかったです。そのあと、スタッフやキャストの発表もあって、その座組を見て、“クオリティの高い作品を世界に発信していく”という強い熱意を感じました」
高橋真(以下、高橋)「僕は原作を読んでいなかったので、製作発表やスタッフ、キャストの座組を見た時も『なにができるんだ?』とまったく想像ができなかったです。個人的に『彼岸島』が好きなのですが、そういう系統の作品かな?と思ってドラマを観始めたら、すごく土台がしっかりしていて一気にハマってしまいました」
「大悟の暴力性のグラデーションの付け方がすばらしかった」(須永)
須永「私も原作は読んでいなくて、今後のドラマを楽しむためにも、まだ手を出さずにいようと思っています(笑)。原作未読者の印象として、柳楽さんの演技には本当に圧倒されてしまいました。大悟の暴力性が回を追うごとにだんだんと見えてきて、そのグラデーションの付け方がすばらしかったです」
SYO「実は柳楽さんは、原作の大悟より5歳以上若いんですよね。なので、柳楽さんがどんな風に演じるんだろう?という興味もありました。僕は柳楽さん主演の『ディストラクション・ベイビーズ』が大好きなので、その点でもテンションが上がっていました。そして、実際にできあがった作品を観ていると、原作以上に大悟のアンコントロールな部分が際立っていた印象です。柳楽さんにも本作でインタビューをさせていただいたのですが、片山監督から『このシーンはまだ怒っちゃダメ!』とストップが入るほど、役に入り込んでいたそうです」
別所「柳楽さんは憑依型の俳優ですよね。大悟は捜査を妨害されたり、暴力を受けたりすると、それ以上の暴力でやり返します。第6話で、そんな姿を見た妻の有希(吉岡里帆)に『なんか楽しそう』って言われちゃったり…。正義を盾にした狂気をリアルに表現しているのが怖かったです」
高橋「巻き舌というか、オラついた感じのしゃべり方も板に付いていました。表情でも圧倒されるのですが、声だけでも本当にイカれてるんじゃないか?と思うほどの熱演でした」