俳優・小池徹平らスピルバーグ映画に影響を受けた3人が語る、新作『フェイブルマンズ』の魅力
「“逃れられない”映画の力を感じました」山崎貴(映画監督)
「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ(05~12)など、VFXを駆使した作品を作り続けている山崎貴監督。彼がVFXで初めて衝撃を受けたのが、スピルバーグが手掛けた『未知との遭遇』(77)だそう。「僕がVFXに感銘を受けた最初の作品が『未知との遭遇』で、『自分も作る!』と衝撃を受けました。『フェイブルマンズ』で、サミーが『地上最大のショウ』を観てショックを受けた状態と完全に同じ。彼は列車が吹き飛ぶシーンを取りつかれたように再現しようとしますが、僕もそうせずにはいられなかった。中学の時に初めて映画を作った体験も、サミーと重なりましたね。木の板を踏んで土埃を出し爆発シーンに見せるとか、スピルバーグが映画を撮り始めたころの現場に立ち会えたようでうれしかった。彼は心の師匠ですから」
山崎監督の印象に残ったのは、映画の中に登場する“好き”を追いかけ続ける人たちの行動だという。「家に突然やって来る芸術家のボリス大伯父さんの存在もおもしろくて。サミーは大伯父さんから『映画を作ることから逃れられない』と呪いをかけられたようなもの。一方、スクールカースト頂点のスターを、オタクであるサミーが打ち負かす展開は、『桐島、部活やめるってよ』と同じでスカッとした(笑)。スピルバーグと母親は芸術家肌で、“だって好きなんだもん”という生き方しかできない。母親が車のライトの前で踊るシーンは、往年のスピルバーグらしさも感じて。彼は“逃れられない”映画が持つ力を、どうしても作品として残したかったんでしょうね」
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