仮設トイレ、エレベーター、棺…映画で描かれたトンデモなシチュエーションからのサバイバル劇
マンホールに落ちた男がSNSを駆使して生き残ろうとする『#マンホール』(公開中)や、地上600mのテレビ塔に取り残された女性たちを描く『FALL/フォール』(公開中)など、あるシチュエーションからの脱出をスリリングに描いた映画が立て続けに封切られている。そんなジャンルに新たに加わったのが、なんと仮設トイレでのサバイバル劇が繰り広げられる『ホーリー・トイレット』(公開中)。ということで、これまでに映画で描かれてきた“激狭”シチュエーションを紹介したい。
目覚めたら仮設トイレ!スマホは便器に…『ホーリー・トイレット』
まず『ホーリー・トイレット』はタイトル通り、トイレが舞台。建築家の男、フランク(トーマス・ニーハウス)が工事現場の仮設トイレで目を覚ますと、右腕には鉄筋が刺さり、さらにあと34分で工事現場一帯が爆発されてしまうという絶体絶命の状況を抜け出そうとする様を、笑いとグロテスクな描写と共に描いていく。
腕を貫く鉄筋によって身動きを封じられながらも状況を脱するべく、折尺とガムを使って便器の中に落ちたスマホから電話をかけようとしたり、トイレットペーパーを駆使して危機を脱しようとしたりと、トイレという設定を生かした仕掛けやダーティな描写もてんこ盛り。
加えて、自分をこの状況に陥れたのは誰なのか?というリゾート開発にまつわる陰謀絡みのストーリーや緊迫感が伝わってくるような演出まで、シチュエーションスリラーという枠組みのなかに見せ場が詰め込まれた1作となっている。
地中の棺と外界とつながる手段は携帯だけ!『リミット』
続いて紹介する『リミット』(10)は、「デッドプール」シリーズでおなじみのライアン・レイノルズが主演を務めたスペイン産スリラー。地中深くに埋められた棺の中での物語が、90分にわたって展開していく。
突然イラクで襲われ拉致されたトラック運転手のポール(レイノルズ)。目を覚ますとそこはなにやら地面に埋められた棺のような箱の中で、自分のものではない携帯電話、オイル切れ寸前のライター、ナイフ、ペンなど、手元に残されたわずかな道具だけを頼りに脱出を試みようするが…。
身動きが取れない狭さに加えて酸素が薄くなっていくという極限の空間は観ているだけで息苦しくなるうえ、徐々に土が隙間から流入してくる演出など切迫感が段違い。携帯電話での会話から事態が明らかになっていく構成や、電話の相手が信用できるのか?と疑心暗鬼になるポールの様子を描き、ワンシチュエーションながら飽きさせない工夫が詰まっている。