笑えて泣けるマルチバース『エブエブ』監督コンビ、ダニエルズにインタビュー!「タイトルが映画作りのゴールになりました」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
笑えて泣けるマルチバース『エブエブ』監督コンビ、ダニエルズにインタビュー!「タイトルが映画作りのゴールになりました」

インタビュー

笑えて泣けるマルチバース『エブエブ』監督コンビ、ダニエルズにインタビュー!「タイトルが映画作りのゴールになりました」

「すべての人が(everyone)望むものを、すべて(everything)この映画に詰め込んだ」

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は2月末の時点、世界興行収入1億754万ドル(約147億円)で、A24配給作品歴代1位を記録している
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は2月末の時点、世界興行収入1億754万ドル(約147億円)で、A24配給作品歴代1位を記録している[c]2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

――ダニエルズのお二人はボストンの大学で出会って以来、ずっとお二人で組んでいます。脚本や演出、撮影、編集におけるそれぞれの役割は決まっているのでしょうか?

シャイナート「どの役割も、より熱意がある方がやることになっています。それが大前提のルールで、お互いにやりたい役割が見え見えなときは、あえてシャッフルします。僕らはこれまで、同じことを繰り返しやってきたので、時には個人的なプロジェクトに参加し、お互いに新しいアイデアを共有できるようしています。そして、今作ではこの役割分担も新しい形に変化しました。ご存知の通り、これは中国系アメリカ人家庭の物語なので、プロデューサーのジョナサン・ウォンの力が必要で、通常はプロデューサーが担わない部分にまで貢献してくれました。僕は中国系アメリカ人の物語の部分には貢献することができなかったけれど、戦闘シーンでは大きな役割を担えたと思っています。そういった映画をたくさん観てきたので」

クワン「だけど、監督業ってとてもストレスの多い仕事なんですよ。だから多くの映画監督が白髪だったり、白髪でハゲっていう(笑)」

シャイナート「僕らもその域にきています(笑)」

クワン「僕は脚本執筆段階や準備中にいつもストレスを感じていて、彼は撮影段階でストレスを感じることが多いです。編集になると今度は僕がストレスを感じてしまいます。だから役割を行き来することで、少しは持続可能になっているんじゃないでしょうか。お互いの得意分野もわかっているし」

シャイナート「宣伝活動も同じ。先週は僕が疲れていたけど、今日はダンが疲れているから僕が話そう、とか」

本作で第95回アカデミー賞の主演女優賞部門にノミネートされたミシェル・ヨー
本作で第95回アカデミー賞の主演女優賞部門にノミネートされたミシェル・ヨー[c]2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.


――この質問を受けるたびに異なる返答をされるのでとても楽しみにしているんですが、とても美しいタイトルの由来を教えてください。

シャイナート「僕らは大好きなんだけど…いま、美しいタイトルって言った?」

クワン「というのは、本当に多くの人に『長すぎるからタイトルを変更しろ』って言われてきたんです。(エヴリンの父のゴン・ゴンを演じた)ジェームズ・ホンは最初に脚本を読んだとき、『長すぎて誰も覚えられないよ。覚えられないし、映画館の看板にも入りきらないだろう』って言っていました。でも僕は、発語の快感が好きなんです。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』って一気に言うと、お口の体操みたいで楽しくなるでしょう?タイトルに関する質問についてこの間気づいたことがあって、『スイス・アーミー・マン』では、作曲家が曲を作るのを手伝ってくれました。そこに、『Everything everywhere matters to everything』という歌詞があります」

シャイナート「『Everything everywhere matters to everyone』だね」

クワン「『Everything everywhere matters everywhere』だったよ。エブリ、エブリ、エブリと繰り返すリズムが楽しくて、無意識にこの歌詞を取り入れていたんだって気づきました。そして、この映画の雰囲気と、現代のこのカオスな世界を生きる感じを表しています。僕らはいま、すべて(everything)、どこでも(everywhere)、同時に(all at once)、このスマートフォンを通してなんでも経験できるように。この映画にとって完璧なタイトルです」

シャイナート「最初から一貫してこのタイトルでした。僕らはとても気に入っていたんです。タイトルが映画作りのゴールになりました。すべての人が(everyone)望むものを、すべて(everything)この映画に詰め込もうという」

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