『フェイブルマンズ』と合わせてチェックしたい!スピルバーグが影響を受けたクラシックムービー
スピルバーグが愛する“映画の神様”ジョン・フォード作品
『フェイブルマンズ』でサミーに大きなインスピレーションをもたらした人物として描かれているのが、“映画の巨人”ことジョン・フォードだ。例えば『フェイブルマンズ』で、ボーイスカウトの仲間たちと共にサミーが鑑賞し、着想を得る作品として登場するのが『リバティ・バランスを射った男』(62)。スピルバーグ監督作『ミュンヘン』(05)で、同作の本編が一瞬テレビで流されており、暴力を否定する作品のメッセージを示唆していた。
そんなフォード作品のなかで、スピルバーグが好きな作品としてたびたび名前を挙げているのが『駅馬車(1939)』(39)だ。アリゾナからニューメキシコまで走る駅馬車を舞台に、先住民による襲撃や無法者との決闘といった騒動が繰り広げられる。
スピルバーグは自身が関わった映画でもオマージュを捧げている。『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)で、走行するトラックの前から転落したインディ・ジョーンズがトラックの下を潜り抜けてカムバックするシーンは『駅馬車』の有名なスタントを彷彿とさせる。
また、スピルバーグが製作総指揮を務めた『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』(90)でも、1885年にタイムスリップしたデロリアンが、荒野でネイティブ・アメリカンと騎兵隊に遭遇するというオマージュが盛り込まれていた。
さらにコマンチ族に兄夫婦を殺され男が、連れ去られた姪を探す姿を描いた『捜索者』(56)もその影響を公言している1作。製作に行き詰まった時に原点に立ち返るために観る作品で、『フェイブルマンズ』の劇中でもポスターが映しだされていた。
なお『フェイブルマンズ』のクライマックスで、サミーがフォード監督から地平線の位置の重要性を問われたというエピソードが登場するが、これは実話。スピルバーグの画作りやアクション演出においてフォード作品がお手本だったことがわかる。