アカデミー賞で世界を魅了した『エブエブ』キー・ホイ・クァン!助演男優賞受賞スピーチ全文&受賞後インタビュー|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
アカデミー賞で世界を魅了した『エブエブ』キー・ホイ・クァン!助演男優賞受賞スピーチ全文&受賞後インタビュー

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アカデミー賞で世界を魅了した『エブエブ』キー・ホイ・クァン!助演男優賞受賞スピーチ全文&受賞後インタビュー

キー・ホイ・クァンのアカデミー賞助演男優賞受賞は、1985年に『キリング・フィールド』でハイン・S・ニョールが受賞して以来、2人目のアジア系俳優となった。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(公開中)は、キー・ホイ・クァンの約30年ぶりの俳優復帰作だった。ベトナム難民としてアメリカに渡り、子役オーディションで『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)のショーティ役を掴んだ。その後スティーヴン・スピルバーグ監督が製作を務める『グーニーズ』(85)にも出演したが、成長するにつれて役者の仕事は減っていった。

『グーニーズ』(85)出演時のキー・ホイ・クアン
『グーニーズ』(85)出演時のキー・ホイ・クアン[c]EVERETTE/AFRO

20代以降は南カリフォルニア大学に進み映画制作を学び、アクション・コーディネーターやウォン・カーウァイ監督の『2046』(04)で助監督を務めるなど、カメラの裏側で仕事を続けてきた。だが、オールアジア系キャストのハリウッド映画『クレイジー・リッチ!』(18)のヒットを受け、再び役者として銀幕で演じる夢を追求することにした。キー・ホイ・クァンは、受賞スピーチでいままで支え続けてくれた糟糠の妻と、『グーニーズ』でチャンク役を演じたジェフ・コーエンに感謝を述べた。彼は40年来の親友で、エンタテインメント弁護士になったコーエンが今作の出演契約を担当したそうだ。

マルチバースを行き交うウェイモンド役を好演したキー・ホイ・クアン
マルチバースを行き交うウェイモンド役を好演したキー・ホイ・クアン[c]2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

キー・ホイ・クァンが演じたウェイモンドは、様々な問題を抱え、人生に後悔の念を抱く妻エヴリン(ミシェル・ヨー)を、有り得たかもしれない人生のマルチバースにジャンプする旅に誘う。常に優しい視線で家族を見守るウェイモンド役は、キー・ホイ・クァンが演じたからこそ、多くの人々の記憶に残る役になった。前哨戦でも受賞が続いたが、どの賞でも心のこもったスピーチが印象的だった。助演賞プレゼンターを昨年の助演男優賞受賞のトロイ・コッツァー、助演女優賞受賞のアリアナ・デボーズが務めた。助演男優賞の名前を読み上げる時に、デボーズは涙で声を詰まらせていた。

キー・ホイ・クァン 助演男優賞受賞スピーチ全文

受賞スピーチでは家族やチーム『エブエブ』、ジェフ・コーエンへの感謝を語った
受賞スピーチでは家族やチーム『エブエブ』、ジェフ・コーエンへの感謝を語った[c]Getty Images

「ありがとうございます。84歳になる母は、家で見ていることでしょう。お母さん、僕はたった今、アカデミー賞を受賞したよ!
私の旅は難民船から始まりました。難民キャンプで1年を過ごし、そんなこんなで、このハリウッドの大舞台に立っています。人々は『そんな話は映画の中だけだ』と言うかもしれませんが、自分の身に起きていることが信じられません。これぞアメリカンドリームです。

一生に一度の栄誉を与えてくれたアカデミー会員の皆さん、今日は本当にありがとうございました。私のために自分を犠牲にしていた母に感謝します。毎日電話をかけてきては、体を大切にするように言ってくれる兄弟のデイヴィッドにも。そして、いままで支えてくれたケンダルにも。
A24に感謝します。ダニエルズ、ジョナサン(・ウォン)、ジェイミー(・リー・カーティス)、ミシェル(・ヨー)にも。そして『グーニーズ』で出会った生涯の友、ジェフ・コーエン!私の人生の愛にすべてを捧げます。妻のエコーは、毎月、毎年、20年の間、『いつかあなたの時代が来る』と私に言ってくれました。

結束力の固いチーム『エブエブ』。本年度アカデミー賞で7冠を達成!
結束力の固いチーム『エブエブ』。本年度アカデミー賞で7冠を達成!Michael Yada / [c]A.M.P.A.S.


夢とは、信じなければならないものです。私はほとんどあきらめていました。世界中のみなさん、どうか夢を持ち続けてください。ありがとうございました。私を迎え入れてくれて、本当にありがとう。愛しています」。


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