黒澤明からの影響も!『長ぐつをはいたネコと9つの命』監督&プロデューサーが語る、人気キャラクターの新たな見せ方
『シュレック』シリーズの人気者、ネコの“プス”を主人公にした映画シリーズ第2弾『長ぐつをはいたネコと9つの命』(公開中)。前作『長ぐつをはいたネコ』(11)から11年、プスの新たな物語はどのように誕生したのか。ドリームワークス・アニメーションのマージー・コーン社長が「観客の期待するプスを描きながら人気シリーズの新章となるような革新的な映画にしてくれる」と期待を寄せたジョエル・クロフォード監督とプロデューサーのマーク・スウィフトの2人にインタビュー!制作プロセスや本作に影響を与えた日本の映画やアニメへの想い、再タッグの感想などを聞いた。
プスは帽子に羽根飾り、マントと長ぐつがトレードマークのお尋ね者の賞金首ネコ。剣を片手に数々の冒険をし、恋もしたが、気づけば9つあった命のストックは残り1つになっていた。急に恐怖がこみあげ、家ネコになることを決意するも、プスを狙う敵の襲来で平和な生活は続かない。そんな時、どんな願い事も叶う「願い星」の存在を知り、プスは命のストックを得るための旅に出る。
「ワクワクするような新しい作品にしなきゃという思いがありました」(クロフォード)
ーーマージー・コーン社長からの期待をどのように受け止めましたか?
クロフォード「少しプレッシャーを感じたのは確かだけど、それは逆にいいものでした。本当にワクワクしながら作ることができたので。どちらかというとストーリーテラーとしての自分たちにプレッシャーを与えていたという感覚です。『シュレック』シリーズから飛びだした『長ぐつをはいたネコ』は世界中の方々が愛してくれたキャラクター。そんな彼を改めてスクリーンに登場させるわけだから、僕らとしては『戻ってきたぞ!』ということをしっかりと示したかったし、ワクワクするような新しい作品にしなきゃという思いがありました」
スウィフト「僕らスタッフ自身が『シュレック』シリーズのファンであることが、作品作りにおいてすごく助けになったと思います。ちゃんと『シュレック』シリーズを観てきたし、愛してきた。そんな作品に関われることは、本当に名誉なことだと受け止めました」
ーークロフォード監督の長編デビュー作『クルードさんちのあたらしい冒険』(20)でタッグを組んだお2人。タッグの相棒としてお互いをどのように感じていますか?
クロフォード「実は、お互いあまり好きじゃないんだけど…っていうのは嘘です(笑)。本当に大好きな人だよ(と肩を引き寄せる)」
スウィフト「ジョエルと会う前に『人柄がすごくいい』という評判をたくさん聞いていました。でも僕のなかでは、監督は自我の強い人が多いというイメージがあって。自我が強いことはクリエイターとしては大事なことだけど、本当にみんなが言うようないい人なのかな、大丈夫なのかなと半信半疑でした (笑)。でも彼に会ってすぐに『なるほど!』と納得。人柄がとても素敵で、寛大だし、忍耐力もあるし、監督としての腕もある。作品に関わるすべての人の最高の部分を引き出すことができる人物だったんです。本当にサイコー、大好きです!」
クロフォード「僕ら2人は人が大好き。特別なものってやっぱり1人で作ることはできません。コラボレーションを通してみんなで力を合わせれば素敵な作品が生まれます。それぞれがいいビジョンを持っていても、それを共有し把握していなければいいものには辿り着けない。そういう意識を会って話してすぐにお互いに理解できたことが、僕たち2人がウマが合うと感じた大きな理由だったと思います」
スウィフト「ジョエルはチームのみんなに『いつでもアイデアを持ってきていい』とオープンな状態でいてくれます。しかもいいアイデアは積極的に採用するんです。そういう環境を彼が常に作っていたことに僕はすごく共鳴しました。本当にすばらしい現場でした」