黒澤明からの影響も!『長ぐつをはいたネコと9つの命』監督&プロデューサーが語る、人気キャラクターの新たな見せ方
「黒澤作品からはたくさんの影響を受けています」(クロフォード)
ーーウルフ役は黒澤明監督の『用心棒』(61)がヒントになったとのこと。また、ワグネル・モウラが独特のクセをつけて声をあてて誕生したキャラクターだそうですが、本作における日本の作品からのインスピレーションについて教えていただけますか。
クロフォード「黒澤作品からはたくさんの影響を受けています。ウルフに関しては特に、武士道や侍という”概念”からインスピレーションを受けました。ウルフは偉大なるプスと互角に渡り合うことができ、恐怖を感じさせるようなキャラクターでなければならない。まず、視覚的な面では、ポンチョを着たマカロニウエスタンをイメージしました。そこに風が吹いてポンチョが揺れた時、ふと侍の姿が思い浮かんだんです。
さらにその内面には、武士道、仁義、名誉、侍の掟を持っているキャラクターにしたくて。そうすることで、2人の対峙シーン、答えを見つけたプスとウルフがお互いにリスペクトを持ちながら違った方向に歩いていく場面に重みが出ると思いました。今作で具体的にイメージしたものがあるとすればワンコ(ネコに変装したイヌ)です。『七人の侍』で三船敏郎さんが演じた菊千代を参考にしました。最初は侍っぽくなかった菊千代が最後は非常に名誉のある人物になって終わる。本作の核心、テーマを体現しているキャラクターでとても重要な役割を担っています。忠誠心を持ってみんなについていくところとか、そっくりでしょ?最終的にはワンコが周りのみんなを変える存在となるという意味で、とても大切なキャラクターでした」
ーークロフォード監督は、『AKIRA』(88)など日本のアニメーションも大好きだそうですね。最近刺激を受けた日本のアニメーションはありますか?
スウィフト「ジョンはたくさん知っているよね。たっぷりと答えてくれるはずだよ!」
クロフォード「僕の得意分野ですね(笑)。日本のアニメーションは大好きです。子どもの頃に『AKIRA』を観た時の衝撃はいまでも忘れられません。ビジュアルもすごいと思ったけれど、芸能山城組のスコアも本当にすばらしくて。僕が一番好きな劇伴です。アニメーションでできることの限界に挑戦し続けていることが日本のアニメーションの尊敬するところ。いまは14歳の息子と一緒に観ることが多いです。最近のおすすめは『ワンパンマン』、『モブサイコ100』、今年のアニメなら『TRIGUN STAMPEDE(トライガン・スタンピード)』がお気に入りです!」
取材・文/タナカシノブ