『ザ・ホエール』でアカデミー賞主演男優賞を受賞！ブレンダン・フレイザーの“復活”を支えた名優の言葉とは

「ハムナプトラ」シリーズや『センター・オブ・ジ・アース』(08)など、1990年代から2000年代にかけてハリウッドを代表するスター俳優の一人として大活躍していたブレンダン・フレイザー。長らく表舞台から遠ざかっていた彼が劇的な復活を遂げ、第95回アカデミー賞で主演男優賞に輝いた『ザ・ホエール』が4月7日(金)より公開される。

【写真を見る】「ハムナプトラ」のスター俳優が大変身…体重272キロで魅せる、魂を込めた演技に世界中が称賛[c] 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.

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『レスラー』(08)や『ブラック・スワン』(10)のダーレン・アロノフスキー監督がメガホンをとり、気鋭の映画スタジオA24が製作を務めた本作でフレイザーが演じたのは、ボーイフレンドを亡くしたショックから過食状態となり体重272キロとなった40代の男チャーリー。心不全の症状が悪化して余命いくばくもないことを悟った彼は、8年前に家庭を捨てて以来別れたままだった娘エリーと再び会い、絆を取り戻そうとする。

「チャーリー役を演じることはすごく怖かった」と本作を振り返るフレイザー。彼が撮影中に心の拠りどころにしていたのは、かつて共演した名優からもらった言葉だったという。その名優とは、フレイザーが初めて演技力を評価され、俳優としての新境地を拓いた『ゴッド・アンド・モンスター』(98)で共演したイアン・マッケランだ。

イアン・マッケランと共演した『ゴッド・アンド・モンスター』は25年前の傑作[c]Everett Collection/AFLO

「これが人生で初めて演じる役だと思うと同時に、これが生涯で最後に演じる役だと思え」。自信をなくした時にフレイザーは、いつもその言葉を復唱していたという。「この言葉があったからこそ、怖気付いて保身に走ることなく、当たって砕けるつもりでチャーリーに真っ向からぶつかっていくことができました。彼のおかげで、自分が持っているものすべてをスクリーン上で見せることができました」。

その言葉をくれたマッケランは、賞レースの最中に本作のプロモーションに参加してフレイザーを叱咤激励。いまでも友人としてフレイザーを支え続けている。またヴェネチア国際映画祭で本作が大喝采を浴びたことを皮切りに、これまで共演した名だたる俳優たちが相次いでフレイザーの復活を祝福。今回のアカデミー賞でも、『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(08)で共演したミシェル・ヨー、『原始のマン』(92)で共演したキー・ホイ・クァンと感動を分かち合う姿が世界中の心を掴んだ。

今年のオスカーで受賞したミシェル・ヨーもキー・ホイ・クァンも過去に共演している[c]Everett Collection/AFLO

魅力的な人柄で映画ファンはもちろん多くの共演者たちをも虜にしてきたフレイザー。今後もDC作品の『Batgirl』や、レオナルド・ディカプリオとロバート・デ・ニーロ、マーティン・スコセッシ監督がタッグを組む『Killers of the Flower Moon』など出演作が目白押し。劇的な復活を遂げたフレイザーの今後に注目すると共に、まずは『ザ・ホエール』で見せる魂の演技を映画館のスクリーンで目撃してほしい！

文/久保田和馬