【ネタバレあり】まさかの刑事ドラマに、ジャック・ブラック&リゾも登場!あと2話でどうなる?「マンダロリアン」シーズン3第6話レビュー
まずはドロイドの管理局本部で事情聴取。長官ヘルゲイト役は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)でお馴染みクリストファー・ロイドだ。御年84歳、『Mr.ノーバディ』(21)でのはっちゃけぶりも記憶に新しく、まだまだ元気な姿が拝めてうれしい限りである。
ここからジャンルは一気にバディ・コップものへと転調。街中で聞き込み、暴れだしたドロイドと大捕物、ドロイド専用バーで聞き込み、死体安置所で検死、何者かが意図的に暴走させていたことが発覚。で、そう。大方の予想どおり真犯人はヘルゲイト長官なわけで。ああ、なにからなにまで王道刑事ものじゃないか。しかもなんと、ヘルゲイトはドゥークー伯爵の信奉者で、分離主義者だったというオマケつきだった。
ちなみにこの惑星では、ドロイドを使役することによって人間はすべての労働から開放され、娯楽や芸術活動、政治に集中することができる。しかし一方で、機械に依存しすぎていて、ドロイドを排除すると生活が成り立たなくなるという。このどこか『ウォーリー』(08)や『映画ドラえもん のび太とブリキの迷宮』(93)を思い起こさせる、「一見ユートピア、実質ディストピア」は、SF好きにとってはたまらない世界観だろう。
こうして公爵夫妻のミッションを無事クリアしたディン・ジャリン&ボ=カターンは、ようやくアックスらに会いに行くのだが、ここではたと気づくのだ。いつのまにかこの物語の主人公がディン・ジャリンではなく、ボ=カターンになっていることに。マンダロリアンを束ねる道を着々と歩むボ=カターン。そしてまた気づく。そういえば作品名は「マンダロリアン」だったと。個人名ではなく部族名。マンダロリアンという部族全体の運命を描くのが本シリーズの目的だとすれば、ディン・ジャリンが脇に追いやられるこの流れもわりとすんなり受け入れられる。しかし、「民族の分断と再統合」という壮大なテーマを描き始めたいま、「IG-11復活?」「ミソソーと大バトル?」とロボット&怪獣にしか興味がなかった自分がなんだか恥ずかしくなってきた。
さあ、残すところあと2話。やや断片的なエピソードを積み重ねているようにも見えるシーズン3が、果たしてどういう着地を見せるのか。冒頭、物語の行き着く先が見えていないと書いたが、裏を返せば予定調和ではないとも言えるわけで、まだまだ驚きの展開が待っているに違いない。ならばやはりここはひとつ、IG-11復活、大怪獣ミソソーvsマンダロリアン軍団vsモフ・ギデオンの三つ巴バトルを、どうか…!
文/西川亮