ワケありチーム最後のお祭り騒ぎ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』、ダメ息子を包む家族愛『銀河鉄道の父』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ最終作、息子を優しく見つめる父の眼差しを描くドラマ、“悲しみ“と“喜び“の間で揺れ動く女性が主人公のヒューマンドラマの、家族の絆を感じる3本。
宇宙の落ちこぼれに過ぎなかった彼らの成長…『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(公開中)
MCUの人気シリーズも6年ぶりの本作で完結。となると銀河の守護者チーム、ガーディアンズの戦いも熱くならざるをえない!今回の敵は、完璧な世界をつくることに狂奔する宇宙の指導者。その刺客の急襲により、命の危機に瀕した仲間ロケットを救うため、ガーディアンズは壮絶な戦いに挑む。
ガーディアンズの面々の個性は今回もユーモラスで、ことあるごとにケンカばかりしているのがおかしい。それでも共闘時は結束し、強大な敵に立ち向かうアツさと言ったら!ロケットの凄惨な過去も明かされ、バトルのエモさにも拍車がかかる。なにより、最初は宇宙の落ちこぼれに過ぎなかった彼らの成長ぶりに胸アツ。シリーズのファンは、とにかく必見だ!(映画ライター・有馬楽)
生まれながらの天才なんて、そんなにはいない…『銀河鉄道の父』(公開中)
詩人、童話作家、宗教家などの多彩な顔を持ち、「銀河鉄道の夜」、「風の又三郎」といった名作で知られる文豪、宮沢賢治。その名や代表作のタイトルを聞いたことがない人は皆無だろうが、37歳の若さで亡くなった賢治が、実は“ダメ息子“だったことを知っている人はあまりいないのではないか!?本作はそんな賢治の知られざる素顔にスポットを当てて第158回直木賞を受賞した門井慶喜の同名小説を、『いのちの停車場』(21)などの成島出監督が、役所広司と菅田将暉の待望の共演で映画化したヒューマン・ムービーだ。
賢治(菅田)は質屋を営む裕福な家の長男として生まれるが、家業を継ぐのを拒否し、農業や人造宝石に夢中になって父親の政次郎(役所)を振り回す。だが、どれも長続きしない彼は、宗教に身を捧げるために東京に家出してしまい…。映画はそんなダメ人間が、なぜ不世出の作家になり得たのかを笑いと涙で炙りだし、不治の病に倒れた妹トシ(森七菜)を励ますために物語を一心不乱に書いたという創作の秘密も解き明かす。なかでも、好きなものに片っ端から手を出すものの、どれも物にできない賢治が父親に最後に漏らす思いがけない本音と、それを聞いた父親が息子に温かな言葉をかけるクライマックスは多くの人の涙を誘うだろう。生まれながらの天才なんて、そんなにはいない。愚直な賢治と彼を愛し、支え続けた家族をめぐるこの真実のドラマを観れば、自分ももう少し頑張ってみよう!と思えるに違いない。(ライター・イソガイマサト)
コントロールできない対極の感情に翻弄される…『それでも私は生きていく』(公開中)
キャラクターの感情描写がまっすぐで生々しく、共感せずにはいられないミア・ハンセン=ラブ監督の8作目となる本作は病気の父親と向きあった監督の経験から生まれたヒューマンドラマ。次第に自分の知る敬愛する父親ではなくなっていく親の姿を目撃しながら、どうすることもできない悲しみ。恋愛などもうしないと思っていた自分に訪れた恋の喜び。コントロールできない対極の感情に翻弄されるシングルマザーのヒロイン、サンドラをレア・セドゥが実直に演じている。
おしゃれする余裕もないサンドラはショートカットですっぴん、デニムにリュックと飾り気のない姿。それでも目を引かずにいられない色気がほとばしるのがさすがレア・セドゥ。不倫関係ながら、誠実であろうと悩む真面目な恋人役のメルヴィル・プポーも適任。仕事、子育て、介護…きれい事ではない誰もの日常に寄り添った内容に心、揺さぶられる。(映画ライター・高山亜紀)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼