役所広司、菅田将暉、坂井真紀がほっこり“家族団らんトーク”を展開!宮沢賢治とその家族になれた舞台裏が明らかに
「支えてくれる家族みんなの力を借りながら、僕が演じる政次郎さんもだんだんと出来上がっていく」(役所)
――本読みから全力で臨まれるとはいえ、やはり現場でお芝居をすることで、さらに一段ギアが入るというか、より一層、作品の世界にグッと入り込むような感覚がありますか?
役所「やっぱりそれは全然違いますよね。いくら本読みを一生懸命やったとしても細かいところまではわからないというか、完全には見えてこないんですよね。衣装を着て、現場に入って、家族1人1人の顔を見て。誰かが話している声が別の部屋から聞こえてきたり、セリフを目の前で聞いたりしながらね。そうやって、支えてくれる家族みんなの力を借りながら、僕が演じる政次郎さんもだんだんと出来上がっていくような感じがしましたね」。
菅田「確かに。もちろん本読みも大事ではあるんですけど、やっぱり、現場での佇まいによって見えてくるものがあるというか。頭を剃って、和服を着て、ドーランを塗って」
役所「ハハハ(笑)。ドーランって。さすがに俺も最近はドーランなんて言わないぞ(笑)」
菅田「いや(笑)。やっぱり時代モノをやる場合、いつもよりファンデーションを厚めに塗ったりするじゃないですか。だから僕、今回の現場は“ドーラン味”があるなと思ってて」
――坂井さんも髪を結って、着物を着て、現場に入って、役が掴めた感覚がありますか?
坂井「そうですね、私も現場に入ってからですね。『あ、この家族って、普段このお部屋で、こういう位置関係で座ってるんだ』みたいなところから始まって、そこからどんどん『宮沢家ってこういう家族なんだな』って実体が掴めていったような気がします」
――スクリーンの中の皆さんがまるで本物の家族のように見えたのですが、その秘訣は?
役所「いくらお金のあるハリウッド映画で爆破シーンを撮るような場合でも、現場で舞台裏を見てみると、実際のセットはペラペラだったりするものなんですよ。出来上がった作品がちゃんと本物に見えるのだとしたら、それは僕らのような俳優の力だけではなくて、スタッフの技術力の賜物でしょうね。そもそも映画というものは、『本物っぽく見せる』ために、監督を中心にものすごい人数のスタッフが、ものすごい時間と手間をかけて作っていくものですから」
――俳優同士、現場でしか受け取れないエネルギーのようなものも当然あるわけですよね。
菅田「役所さんとは密接なシーンが多かったので、引っ張られる力みたいなものはすごく感じましたよね。実際のところなにが正解なのかはわからないですが、僕の肌感としては、一発目の芝居が一番好きなんですよ。だからリハーサルで役所さんと芝居を合わせると、監督も『よし、それだ!』って大体なるんですけど、『いまのとまったく同じ芝居をやれって言われても、俺は2度と再現できないんじゃないか…』と思うんです(苦笑)。そこは悩みどころでしたね。でも、仕方ないですよね。役所さんが常に本気でくるからこっちも全力でやらないわけにはいかないですし、やっているうちについ楽しくなっちゃって、途中で止められないんですよ。役所さんとの芝居ではそういう感覚がありました」
――坂井さんは役所さんと現場でお芝居を交わされてみていかがでした?
坂井「すごく緊張もしていたんですが、役所さんはどんな私でもしっかりと受け止めてくださって…」
役所「へぇ~。本当に(笑)?」
坂井「本当です(笑)。私はいつも役所さんに助けられてばかりでした」