役所広司、菅田将暉、坂井真紀がほっこり“家族団らんトーク”を展開!宮沢賢治とその家族になれた舞台裏が明らかに
「賢治だけじゃなく、家族全員がキレイな心の持ち主である」(役所)
――賢治の妹・トシを演じる森七菜さんが、田中泯さん演じる祖父の喜助をビンタするシーンの一連のお芝居は、息を呑むほど圧巻でした。現場はどんな雰囲気だったんですか?
役所「いや、あのシーンはすごいよね。台本を読んだ時、僕も『おっ!?』と思いましたから。しかも最初からワンカットで撮ってるものだから、もしも七菜ちゃんが空振りでもしようものなら…ねぇ。本当に『よくぞやってくれた!』と痺れた名シーンでしたね」
――撮影中、坂井さんが特に印象に残っているエピソードはありますか?
坂井「結核になったトシが血を吐くシーンを撮るのがなかなか難しくて、どうしたものかと現場でみんなが頭を悩ませていたんですが、菅田くんが『あっ!』と驚くような見事なアイデアをその場で思いついてくれたおかげで、無事に撮り終えることができたんです」
菅田「あぁ! 確かにそんなことありましたね。よく覚えてますね(笑)」
坂井「試しにやってみたらすごく上手くいって。その技があまりにもすばらしかったので、『この裏技を”すだま”と名付けて後世に残さなきゃ!』っていう話になったくらいなんです。いったいどんな裏技だったのか、ぜひとも映画を観て想像していただければと(笑)」
――では最後に改めて。「宮沢家」を演じられた皆さんが公開を控えたいま思うことは?
菅田「賢治は周りに甘えてばかりですが、『宮沢家』はそんな賢治を頭ごなしに否定せず、受け入れてくれる感じがあって、お芝居するうえでもすごくありがたかったです。この取材現場の空気感そのままに、本当に自由に、楽しく、宮沢賢治を演じさせていただきました」
坂井「役所さん演じる政次郎さんがとてもチャーミングなんです。『宮沢賢治はこんなふうに育ったんだな』って、映画をご覧になった方々も納得されるんじゃないかと思います」
役所「映画のなかにも少し出てきますけど、『人というものは、人のためになにかしてあげるために生まれてきたのです』って母親のイチが常に言い聞かせていた甲斐もあって、『宮沢家』の子どもたちは本当にみんないい子に育ってるんですよね。賢治の詩を読んでいても『本当にキレイな心の持ち主だな』とつくづく思いましたけど、賢治だけじゃなく、家族全員がキレイな心の持ち主であるというところが、この映画を盛り上げてくれるんじゃないかと思いますね」
取材・文/渡邊玲子