古代の秘宝と軍が密接な関係に…!?オカルトブームで振り返る「インディ・ジョーンズ」の戦い
「十戒」が収められた聖櫃(アーク)を巡る戦いを描く『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』
『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』では、モーゼが神から預かった10の掟が記された石版「十戒」が納められている契約の箱とも言われる聖櫃(アーク)を巡る戦いが描かれた。舞台となるのは第二次世界大戦の開戦が迫る1936年で、ナチス・ドイツが勢力を拡大し、ヒトラーの独裁体制が強固となっていた時代。旧約聖書によると聖櫃には超自然的な力が秘められており、敵と戦う際には街を壊滅させるほどの武器にもなったと記されている。ナチス・ドイツが今後のヨーロッパ進出に向けて聖櫃を手に入れ、その強大な力を軍事利用しようとして本格的な発掘作業を始めたと、インディはアメリカ政府の諜報員から知らされる。そこで彼は、考古学的な知識を駆使して聖櫃をナチス・ドイツよりも先に手に入れるべく奮闘することになる。
クライマックスでは、聖櫃の神がかった“力”がどういうものか、その蓋が開かれ、旧約聖書に記された驚異的な力の正体がわかるシーンが描かれている。この人智の及ばない超自然的な力の存在は、シリーズの大きな指針を作ったと言えるだろう。
秘石「サンカラ・ストーン」の力で人々を苦しめる邪教集団との戦い…『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』
第2作『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』(84)は、時系列的には『レイダース』の前年にあたる1935年を舞台にしている。前作がヨーロッパからエジプト方面にかけてナチス・ドイツとの攻防を描いていたことから、作品の雰囲気や仕上がりは異なるテイストに。インドの奥地にある小さな山村で奉られている秘石「サンカラ・ストーン」を巡り、石を奪った邪教とインディとの戦いが繰り広げられる。
インドが舞台ということでオリエンタルな雰囲気が全体に漂うだけでなく、村々からさらって来た子どもたちを鉱山で働かせる邪教集団の禍々しさ、東洋的なオカルティシズムを感じさせる信仰の描写はとにかく不気味。シリーズのなかでも特に異色の作品となっているが、落下する飛行機からの脱出やトロッコを使ったチェイスなど連続活劇的なアドベチャー要素は、結果作品イメージを広げることに成功したとも言える。
“聖杯”を求めてインディとヘンリーの親子が大活躍する『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』
第3作『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』(89)は『レイダース』から2年後の物語。鍵となるのは、イエス・キリストが最後の晩餐でワインを飲み、その後、彼がローマ帝国に捕まって十字架に磔刑され、ロンギヌスの槍で貫かれた際に脇腹からこぼれ落ちた血を受けたとされる“聖杯”。キリストに関連した聖遺物として有名で、「アーサー王物語」でも騎士たちが探す宝物として登場しており、病気を治癒する超自然的な力を持つという伝承もある。
アメリカの富豪から依頼され、聖杯を見つけようとしていたインディの父親ヘンリー(ショーン・コネリー)が行方不明に。そのことを富豪から聞かされたインディは、生涯をかけて聖杯探しをしていた父が残した「聖杯日誌」をもとに、ヘンリーの助手であったエルザ(アリソン・ドゥーディ)と共にその行方を追うことになる。物語が進むなかで、インディは今回の事件はナチス・ドイツの陰謀であり、聖杯から得られる「永遠の命」をねらっていることが判明する。『レイダース』に続いてナチス・ドイツが暗躍し、豊富な人材と資金を投入して大規模な秘宝の奪取を試みるのをインディが阻止するという構図が、この作品でも大きな縦軸となっていると言える。