石橋静河、舞台「エヴァンゲリオン」に挑む覚悟「恐れずに新たな可能性に挑戦していきたい」
「14歳で感じた焦り。その時に踏みだした一歩のおかげで、いまがある」
エヴァンゲリオンに搭乗する少年少女たちは14歳。本作では、揺れ動く14歳の心情も描かれていく。石橋に14歳当時を振り返ってもらうと、「焦りを感じていた時期だった」と明かす。
石橋は「それまでは、学校や習い事など、すべてが自分の家の半径5km圏内で、世界が完結していました。このままでは自分はなにもできないのではないかと焦りを感じて、14歳のころに1か月、バレエ留学のためにカナダへと飛びだしました。まったく違うカルチャーの国で、言葉もわからないし、ホームシックで毎日泣いていました」と苦笑い。「でもだんだん楽しくなってきて、『もっと自分は外の世界を知らなければいけない』とハッと目が覚めたような気がしました。そこで15歳の年に、本格的な留学をしようと決断しました。その時に一歩踏みだしたおかげで、いまがあります。思い切って決断して、本当によかったなと思っています」と目尻をさげる。
近年だけでも石橋は、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の静御前役で鮮烈な印象を残し、映画『前科者』(22)では、更生のために奮闘する“前科者”を好演。そして今年は「桜姫東文章」に本作と、立て続けに舞台に出演し、幅広いフィールドでしなやかな存在感を発揮している。いま、女優業にどのような喜びを感じているのだろうか。
本作の幕開けに向かって「稽古を重ねるごとに、緊張感が増している」と切りだした石橋は、「舞台って、どんな作品でも幕を開けるまでがとてもしんどくて。でも私は、楽をすることが幸せではないなと思っています。自分の心が求めているのは、もっと新しいものを見たい、もっと成長したいということ。大変だな、苦しいなと思うこともありますが、やっぱりそれも自分が選んでやっていることなんですね。そのなかで舞台の好きなところは、幕を開けたら、役者やパフォーマーに自由があるところ。また今回は、こうやって表現を続けてきたことで、ラルビさんとご一緒することもできた。そうやって喜びや発見を、たくさん見つけていきたいと思っています」としみじみ。「ラルビさんは自分の内面を掘り下げながら演出をされているので、もちろんエンタメとして楽しめつつ、『おもしろかった』だけでは終わらない、特別ななにかが残る作品になると思っています」と期待を込めていた。
取材・文/成田おり枝
■作品概要
THEATER MILANO-Zaこけら落とし公演
COCOON PRODUCTION 2023
『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』
・東京公演
公演日程:2023年5月6日(土)~5月28日(日)
会場:THEATER MILANO-Za
・長野公演
公演日程:6月3日(土)、4日(日)
会場:まつもと市民芸術館
・大阪公演
公演日程:6 月10日(土)~19日(月)
会場:森ノ宮ピロティホール