五月女ケイ子の描きおろしイラストが誘う、不思議に愛おしい『TAR/ター』の“ヤバみ”
鳥肌必至!音楽シーンの圧倒的迫力とかっこいいの限界を超えるケイト・ブランシェット
ターに扮したブランシェットが実際にタクトを振るい、オルガ役のカウアーら出演者たちも自身で演奏する音楽シーンはとにかく圧巻。普段からクラシックなどの音楽を聴くという五月女も、「個人的にはオケの練習や演奏シーンがすばらしくて、ターの指揮と融合した音楽の美しさを音と映像で体感してほしいです」と太鼓判を押す。サウンドトラックに収録された楽曲も、ブランシェットが実際に指揮をしたという徹底ぶりだ。どこをとってもとにかくかっこいい。実際、ブランシェットの役への没入はすさまじく、ドイツ語とアメリカ訛りの英語を完璧にこなし、ピアノも習得。指揮の場面にしても、プロに習いつつ、独特のダイナミックなタクトでビジュアル的な興奮を生みだした。そのカリスマ性ともども、見惚れること必至!
全員敵に見えてくる!ターを取り巻く一筋縄ではいかない登場人物たち
紹介してきたように、ターはアクの強いキャラクターではあるが、彼女を囲む人々もなかなか個性的で、かつ野心的。アシスタントのフランチェスカ(ノエミ・メルラン)はおとなしくターに従っているように見えるが、次期副指揮者の座を虎視眈々と狙っている。ターの公私にわたるパートナー、シャロンはターを支えつつもコンサートマスターの地位を守るため、ターの行き過ぎを黙認。また、若いオルガ(ソフィー・カウアー)は物おじせず、ター相手でもズケズケとモノをいう奔放な性格。いずれも秘めた野心があり、もう誰が敵か見極めるのは至難の業。それがドラマをスリリングに動かしていく!
映画史に燦然と輝く、サスペンスフルなエンタメ傑作。恐ろしいほど完全主義者であるターの、完璧だった世界が崩壊していくさまは並々ならぬ緊張をはらみ、予想もしなかった結末へと観客を誘う!本稿をきっかけに、ぜひ劇場へ足を運んでみてほしい。
イラスト/五月女ケイ子 文/相馬 学
■五月女ケイ子
イラストレーター。山口県生まれ横浜育ち。大学では映画学を専攻し映画研究部に在籍し、卒業後に独学でイラストレーターになる。「徹子の部屋」(テレビ朝日)のほかの部屋はどうなっているのか、を図解したイラストをきっかけに、唯一無二の現在のスタイルを獲得。その後「淑女のエチケット」(扶桑社)、「親バカ本」(マガジンハウス)などの著書を手掛けたほか、舞台やテレビ番組への出演などマルチに活躍中。
公式サイト:http://www.keikosootome.com/
イラストレーター。山口県生まれ横浜育ち。大学では映画学を専攻し映画研究部に在籍し、卒業後に独学でイラストレーターになる。「徹子の部屋」(テレビ朝日)のほかの部屋はどうなっているのか、を図解したイラストをきっかけに、唯一無二の現在のスタイルを獲得。その後「淑女のエチケット」(扶桑社)、「親バカ本」(マガジンハウス)などの著書を手掛けたほか、舞台やテレビ番組への出演などマルチに活躍中。
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