高橋一生&飯豊まりえが語り合う、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』で再確認した異形のバディ感
「露伴先生も楽しんでるんじゃないですか?」(飯豊)
――ドラマから映画まで、約3年演じてきたそれぞれのキャラクターについて伺います。映画で改めて感じた岸辺露伴、泉京香の魅力を教えてください。
飯豊「観ていただけたら、露伴先生の魅力は存分に感じていただけると思います(笑)!冒頭に、露伴先生の取材シーンがあるのですが、取材方法を話すところなどは、とても露伴先生っぽく、魅力的でした」
高橋「骨董品屋さんで器を手に取るシーンですね。あれは非常に露伴的なシーンになったと思います。露伴は泉くんが一番の強敵だということをだいぶ理解してきたと思います(笑)。なぜなら、泉くんが問題を持って来なければ露伴は怪異に当たることはありませんから。一番自分の懐に入ってきてしまっていて、かつ一番怪異を持ってきやすい人間、それが泉くんです。おもしろいのは彼女自身に全く悪意がないということ。その怖さこそがある意味魅力ではないでしょうか。それが『感心する』というセリフに集約されているんじゃないかと思います。
2人の異形のバディ感はきっとそんなところから来ている気がします。また泉くんは、一度たりとも露伴の能力を見ていないわけです。この状態が3年続いている時点で、ちょっと異常性のあるバディだと思います。ワトソンはホームズが天才であることはわかっている。泉くんの場合は、確かに露伴がすごい漫画家であることはわかっているけれど、その漫画すらも本当に評価できているのかはわからないですが…」
飯豊「泉くんは『偏屈だな〜。一筋縄ではいかないな〜』というように思っているかもしれませんよね(笑)」
高橋「異形のバディ感のようなものが熟成されてきているので、露伴自身も『次はなにを持ってくるのだろう』とか『面倒だな』と思いながらも、自分の漫画のためになること、同時に強敵であることも理解しているはずです」
飯豊「露伴先生も楽しんでるんじゃないですか?」
高橋「楽しいなと思って好奇心で顔を突っ込むと、毎回痛い目に遭うので、その覚悟のようなものがこれまで築き上げてきた関係性で露伴には芽生えたと思います。でも、これまで露伴は泉くんが持ってくるものを受動的に受け止めて動いてきたけれど、今回は『ルーヴルへ行く』というタイトルの通り、露伴が初めて能動的に動くなかで、泉くんがどのように立ち回るのかも見どころです。また、泉くん個人のパリへの想いも描かれているので注目していただきたいです。岸辺露伴と泉くんの人間的な奥行き、それぞれの過去やルーツのような話も出てきて、より深いものになっています」