デビュー10年を迎えたBTS。『Burn the Stage : the Movie』から最新ドキュメンタリーまで、劇場公開作品でたどる軌跡と未来

コラム

デビュー10年を迎えたBTS。『Burn the Stage : the Movie』から最新ドキュメンタリーまで、劇場公開作品でたどる軌跡と未来

JIN入隊前、最後のライブを映画化した『BTS: Yet To Come in Cinemas』(23)

記憶に新しい「BTS in BUSAN」のライブを映画化した『BTS: Yet To Come in Cinemas』(23)
記憶に新しい「BTS in BUSAN」のライブを映画化した『BTS: Yet To Come in Cinemas』(23)[c]Everett Collection/AFLO

ドキュメンタリー映画三部作の公開から3年経った2023年。BTSが新たに劇場公開したのは『BTS: Yet To Come in Cinemas』だ。2022年10月、釜山にて一夜限りで行われた「BTS in BUSAN」をシネマティック専用カメラ14台を総動員し、多彩なアングルで映し出したライブ映像となっている。かっこよすぎるオープニングの「MIC Drop」や、初披露となった新曲「Run BTS」、ボーカルラインの美しく儚いステージ、会場のボルテージが一気に上昇したラップラインのパフォーマンス、ラストソングの「Yet to Come」まで…本当に全編見どころしかない。そしてこの“釜山コン”の2か月後、JINは兵役で軍へ入隊することとなる。つまりこのライブが兵役前のラストステージだったため、JINの美しい高音ボイスを聴くだけで自然と涙が流れてしまう。

J-HOPE&SUGAのソロアルバム制作に迫ったドキュメンタリーが劇場公開!

そして6月23日には『j-hope IN THE BOX』と『SUGA: Road to D-DAY』がいよいよ劇場公開となる。『j-hope IN THE BOX』はJ-HOPEのソロデビューアルバム制作に密着し、アルバム完成までの道のりに迫る音楽ドキュメンタリーだ。BTSはちょうど1年前の2022年6月に、公式YouTubeで今後はソロプロジェクトにも注力していくことを発表。「もうBTSはグループ活動をしないのか?」「実質活動休止なのでは?」と、様々な憶測が飛び交うなか、7人の中で先陣を切ってソロアルバムを発表したのがJ-HOPEだった。リード曲の「MORE」で見せた、これまでのイメージを覆す新しいJ-HOPEの姿に衝撃を受けたARMYも多いのではないだろうか?『j-hope IN THE BOX』では、「既存の殻を破り、成長した姿を見せたい」と話す彼の創作活動への不安や苦悩が映しだされている。

「ロラパルーザ」で圧巻のパフォーマンスを見せたJ-HOPE(写真は『j-hope IN THE BOX』より)
「ロラパルーザ」で圧巻のパフォーマンスを見せたJ-HOPE(写真は『j-hope IN THE BOX』より)[c]2023 BIGHIT MUSIC & HYBE. All Rights Reserved.

また、音楽フェス「ロラパルーザ」にたった一人で参加することへの大きなプレッシャーも。これほどまでに大スターになっても、一人でステージに立つ不安や恐怖は相当なものなのだなと衝撃を受ける。それでも不安に打ち勝ち、見事に圧巻のソロステージを見せてくれたJ-HOPEはとてつもなくかっこいい。そんな彼の勇姿を見届けるため、そして激励するために、わざわざシカゴまで駆けつけたJIMINとの強い絆もたまらない。

『SUGA: Road to D-DAY』はSUGAのソロアルバム「D-DAY」の制作過程に密着したドキュメンタリーだ。本編は、「やりたいことがないのが悩み」「たくさんの夢をかなえてしまったから、そのせいで忘れてしまったのか…」というSUGAの言葉から始まる。そんな苦しみを抱えながらSUGAは、アメリカ、ソウル、平昌、春川、東京などを飛び回り、友人たちと出会い、楽曲を作りながら、自分自身を見つめていく。この作品を見れば、「D-DAY」の楽曲にそれぞれどんな想いが込めれているのかを知ることができる。彼の想いを知ったうえで歌詞を読んだりMVを見たりすると、感じ方もまったく変わってくるはずだ。

ソロアルバム「D-DAY」の制作の舞台裏に迫った『SUGA: Road to D-DAY』
ソロアルバム「D-DAY」の制作の舞台裏に迫った『SUGA: Road to D-DAY』[c]2023 BIGHIT MUSIC & HYBE. All Rights Reserved.

SUGAが「僕の数万の思考を整理して歌詞にしている」と話すとおり、多彩な楽曲を生みだすことのできる彼は、やはり天才プロデューサーであり、天才ラッパーだなとつくづく思う。東京での旅路では、アーティストとして大きく影響を受けた坂本龍一氏との対談シーンも。少し人見知りを発揮しながらも、自身の音楽に対する考えや、坂本にどれほど影響を受けたかを話すSUGA。そんなSUGAの言葉に耳を傾けている坂本の表情が終始優しく穏やかで、胸を打たれる。楽しそうにピアノを弾き合うシーンも必見だ。SUGAは現在、アルバム「D-DAY」を引っ提げたソロワールドツアーを行なっている。6月2日〜4日には日本公演を開催し、日本中のARMYが熱狂した。あの圧巻のライブを目の当たりにしたいま、改めて『SUGA: Road to D-DAY』を観直したい。もう一度、SUGAの絶大な音楽愛を噛み締めたいなと思う。


【写真を見る】デビュー10年。苦難の時も、常にファンを第一に考えてくれたBTS(写真は『BREAK THE SILENCE:THE MOVIE』より)
【写真を見る】デビュー10年。苦難の時も、常にファンを第一に考えてくれたBTS(写真は『BREAK THE SILENCE:THE MOVIE』より)[c]Everett Collection/AFLO

BTSはこうしてドキュメンタリー作品で、普通なら知ることのできない裏側を私たちに届けてくれる。7人の強い絆に感動し、ARMYへの大きすぎる愛情に涙し、BTSとして生きる彼らの苦悩を知って胸が締め付けられる。記念すべきデビュー10周年なのに、7人揃った姿を見られないのはとても残念だ。だけど、私たちが残念に思っていることを彼らはとてもよくわかっている。だからこそ、サプライズで新曲を発表してくれたり、JIMINがソロ曲を公開してくれたり、新しい“家族写真”も見せてくれた。韓国ではRMのトークショーとJUNG KOOKのナレーションつきの花火大会も開催される。もしかしたら今後、J-HOPEやSUGAのように、ほかのメンバーもドキュメンタリー作品を公開してくれるかもしれない。いつだって十分すぎるほどにARMYに幸せと安心を届けてくれる彼らには、本当に感謝してもしきれない。だから私たちは、なにがあっても、これからもARMYでいることをやめられない。

文/紺野真利子

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