なにわ男子・西畑大吾が明かす、役者としてのアプローチ「自分自身を意識せず、作品のなかで生きたい」
「イヤホンで怖い話を聞きながら、掃除すると捗るんです(笑)」
ホラー映画の現場は、ホラーが大好きなスタッフがこだわりの表現を笑顔で徹底させていて、普通の現場よりも熱気と楽しさにあふれている。けれど、そこから産み落とされるものは、背筋も凍る恐ろしい世界。そこで、改めて完成した映画を観た感想を聞くと「マジで怖かったです」と思い出したように表情を歪める。
「それこそ、映画が始まる前の東映のマークが出るところで予想外のことが起きたから、あれでもうビビりました(笑)。あとは、(役場に勤める島の住人に扮した)なだぎ武さんが“イマジョ”に襲われるシーンもめっちゃ怖かった。あそこは清水さんがこだわり抜いたところだと思います。5時間押しで、朝まで撮っていましたからね」と述懐。道枝駿佑が主演した『今夜、世界からこの恋が消えても』(22)、高橋恭平が主演した『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(23)を“なにわ男子”のメンバー全員で鑑賞し、それが定例化しているが、「本作も一緒に観られたら、また違った盛り上がり方をして最高じゃないですか!」と期待を寄せていた。(編集部注:取材後に行われたメンバーだけの試写会の模様は、なにわ男子公式YouTubeチャンネルにて公開中)
「でも、みんなビビりなんですよ(笑)。公式のYouTubeでお化け屋敷に行かせてもらった時の反応を見てそう思いましたけど、でもミッチー(道枝)かな、いちばん怖がってくれそうなのは(笑)」。
西畑自身も怖い映画は苦手だが、都市伝説は好きで、「学生時代は、夏によくやっている『ほんとにあった怖い話』のドラマを、苦手やのに、これぐらいなら大丈夫かな~っていう軽いノリで観て、その日の夜はお兄ちゃんとトイレに行っていました」と恥ずかしそうに打ち明け、“怖がりながら観るのが好きなタイプ”と自己分析する。「YouTubeでやっている『怖い話』を聞きながら、たまに家事をすることがありますもん。イヤホンで聞きながら掃除すると捗るんですけど、終わった後、めっちゃ怖いんですよ。アホでしょ(笑)」。
「『忌怪島』はミステリーの要素もあるし、サバイバルムービーとしても楽しめる」
では、これまでの人生のなかで、いちばん怖かった出来事はなんだったのだろうか。西畑は「いちばん怖かった出来事?」と一度反芻し、過去をゆっくり回想しながら「えっと…母親と喧嘩して飛び蹴りされたことですかね(笑)」というまたまた想定外の回答で驚かせる。「DVとかじゃないですよ! 中学生のころやったと思うんですけど、たぶん僕が一方的に悪いことをして、躾の一環として飛び蹴りをされたんです。でも、うちの母親は小柄で、そういうことをやりそうにないタイプだったから、それだけに、そのキックが強烈で痛かった。僕、霊体験とかもないので、いちばん怖かった出来事ってなると、あの飛び蹴りになるかもしれない(笑)」。
と、ここまで怖いエピソードが続いたが、西畑は「『忌怪島』はさっきも言ったようにマジで怖いですよ。メタバース+島ならではの独特の閉塞感のなかで、科学と非科学が交わった時に起こる未曾有の恐怖を描いていますから」と念を押したうえで、それだけではない本作の魅力を改めて解説する。「謎解きや先の読めないミステリーの要素もあるし、サバイバルムービーとしても楽しめる。近い将来起こるかもしれないことを描いているので、散りばめられた伏線を意識しながら、ウワッ、こんな時代になったらどうしよう?ということを肌で感じながら観ていただけたらうれしいですね」。
本作が扱うメタバースも、最近よく耳にする、現実世界でも実用化が目前の技術だが、西畑は「自分が作るなら、西畑のことが好きな人しか入れない世界ですね(笑)」ときっぱり。「僕も今回演じた友彦くんと同じように対人関係が少し苦手なところがあるので、面接をして、僕と合うか合わないかで、入れるか入れないか決まるんです(笑)」。そう言うと、西畑は最初と同じように悪戯な笑みを浮かべる。
どこまでが本音で、どこからが彼のユーモアなのか?その捉えどころがない感じも彼の魅力。「お芝居をさせていただく時は、あまり自分自身を意識しない。今回も友彦くんの人間味の強さを少しでも表現できたらと思ったし、これからも、その作品のなかでしっかり生きていけたらいいですね」。
取材・文/イソガイマサト