『リボルバー・リリー』撮影現場に潜入!綾瀬はるかが体現したアクションへのストイックさ
「さすが映画だなということを取り戻したい」(紀伊プロデューサー)
百合と対峙する陸軍大尉を演じるのは、SixTONESのメンバーとして活躍するジェシー。184cmの高身長と軍服姿で、遠くからでも存在感を放っていた。普段のたたずまいとは異なり、どこか狂気を宿した立ち姿は、役へ憑依しているように見えた。この配役について、紀伊プロデューサーは、「ある意味、この映画の”ジョーカー”的な存在です。原作が元々ハーフだったことと、百合にとって大きな敵であるので、月並みじゃない人がいいなと思っていました。キャスティングはどれだけイメージを裏切るかも大事だと思っているので、考えた末に、『ジェシーさんがいいのでは』と監督と話をしてオファーしました」と明かした。
陸軍兵士たちが百合たちのいる「ランブル」に目掛けて一斉射撃をするシーンの撮影では、「アクション!」の掛け声と共に、兵士たちが次々と発砲していく。「大きな音がするシーンです」と撮影前に説明を受けていても、思わずのけぞるほどの音と迫力だ。現在はCGでマズルフラッシュを加工することも容易だが、撮影現場で実際に銃口から発火させて生まれる轟音が、映画に緊張感を生みだしていると実感できた。
美しい画作りや豊かな人物描写などで国内外から高い評価を得てきた行定監督が、東映のアクション映画を監督することに意外性を感じた映画ファンもいるかもしれない。この抜擢について紀伊プロデューサーは、「それがねらいです」と笑顔で答える。「アートのできる人にジャンル映画を撮らせる。それは僕のなかでは、『チャン・イーモウがアクション映画を撮る』みたいなことだと思っています。「『僕にこんな題材を持ってきてきたのは、紀伊さんが初めてです』って言っていましたね(笑)」。
そして紀伊プロデューサーは、「この映画はLEXUS(トヨタ自動車の高級車ブランド)」と話してくれた。その心は、本作を“世界で戦える映画”を作っているという想いからくるそうで、「日本の映像会社が、本気で世界と戦うためにLEXUSを作る。お金をかけないことを前提におもしろいことをやるのが、日本映画の美徳みたいなところかもしれないけれど、お客さんには関係ないし、豊かなものを観たいと思います。だからこの映画が最初の一歩になって、日本映画はまだまだ捨てたもんじゃない、さすが映画だなということを取り戻したいなと思っています」。
一方の行定監督は、初のアクション映画に挑んだ難しさを「いままでラブストーリーとか人間ドラマしか撮ったことないので、『こうあるべき』みたいなものを覆していかないと、きっと新しいアクションにならない。難しいです」と心境を吐露した。
綾瀬をはじめとするオールスターキャスト陣の演技と、行定監督の演出の化学反応で、どんなアクション映画が生まれているのか。ぜひ大スクリーンでその全貌を目撃して欲しい。
取材・文/編集部