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この夏、キム・テリ主演「悪鬼」と共に楽しみたい。いますぐ観られる“韓国オカルトムービー”

コラム

この夏、キム・テリ主演「悪鬼」と共に楽しみたい。いますぐ観られる“韓国オカルトムービー”

キム・ユンソク×カン・ドンウォンが悪魔祓い! バディファイトも堪能できる『プリースト 悪魔を葬る者』

実際に数万回の悪魔祓いを行った神父による回顧録を実写化した『ヴァチカンのエクソシスト』(公開中)。ラッセル・クロウ扮する個性抜群の神父とエンタメ感満載のストーリーの虜になる観客が続出しているが、そんなオカルトムービーファンの方に、ぜひ『プリースト 悪魔を葬る者』(15)をおすすめしたい。

チャン・ジェヒョン監督が韓国オカルトムービーの新たな担い手として躍進するきっかけとなった『プリースト 悪魔を葬る者』
チャン・ジェヒョン監督が韓国オカルトムービーの新たな担い手として躍進するきっかけとなった『プリースト 悪魔を葬る者』[c]Everett Collection/AFLO

ひき逃げ事故に遭ってから不可解な症状に襲われていた女子高生ヨンシン(パク・ソダム)が自殺未遂を起こし、昏睡状態に。キム神父(キム・ユンソク)は“何かが彼女に取り憑いている”と確信。サポート役となる補助司祭に抜擢された落ちこぼれの神学校生アガト(カン・ドンウォン)を伴い、悪魔の存在を信じない聖職者たちを尻目に、ヨンシンの元へ悪魔祓いへ向かう。しかし、強大な魔物と化したヨンシンを相手に、二人は想像を超える恐怖を経験することになる。

チョン・ウチ 時空道士』(09)で抜群の相性を見せたキム・ユンソクとカン・ドンウォンが聖職服を身に纏った神父に扮し、悪魔祓いに挑むという極上のバディ・ムービー。さらに、アガトが幼い頃のトラウマにずっと苦しんでいて、悪魔祓いによってそうした彼の恐怖と弱みを克服するストーリーラインになっている点が奥深い。

2人もさることながら、悪魔に取り憑かれた女子高生ヨンシンを演じたパク・ソダムの怪演がすばらしい。下劣な言葉で神父たちを挑発したり、血反吐を吐きながら苦しんだりと、声と表情で天使と悪魔の表現を行き来するその姿は、スパイダーウォークでお茶の間を恐怖のどん底へ突き落とした、『エクソシスト』の少女リーガン役のリンダ・ブレアに比肩する圧倒的な存在感を見せた。

クリーチャーの造型美にも注目!パク・ソジュンが悪魔と戦う異色オカルトエンタメ『ディヴァイン・フューリー/使者』

悪魔のキャラクターを楽しみたい方や、エンタメ色の強いオカルトムービーを観たい方には、『ディヴァイン・フューリー/使者』(19)がピッタリではないだろうか。

韓国オカルト映画史上屈指の“肉体派エクソシスト”を好演したパク・ソジュン
韓国オカルト映画史上屈指の“肉体派エクソシスト”を好演したパク・ソジュン[c]Everett Collection/AFLO

幼少期に事故で父を亡くしたヨンフ(パク・ソジュン)は、父を救ってくれなかった神への憎しみを抱き成長。総合格闘技の世界チャンピオンとなるが、耳元でささやく謎の声に日々悩まされていた。ある日、右手に謎の傷があることに気づいたヨンフは、調べていくうちにバチカンから韓国へ来ていたエクソシストのアン神父(アン・ソンギ)と出逢う。ひょんなことからアン神父の悪魔祓いに付き合うことになったヨンフは、自らに秘められた超常的な力を知る。同じ頃、繁華街では底知れぬ悪の存在が、密かに蠢いていた。

ベテランの貫禄で映画に安定感を加えたアン神父役のアン・ソンギ
ベテランの貫禄で映画に安定感を加えたアン神父役のアン・ソンギ[c]Everett Collection/AFLO

ヨンフの右手の傷は、愛する父が形見のように残した聖痕(何らかの科学的に説明できない力によって信者らの身体に現れるとされる類似の傷)だった。総合格闘技のファイターでもある右手の一撃は、神の力も手伝い悪魔祓いに効果抜群で、マ・ドンソク扮する「犯罪都市」シリーズの豪腕刑事マ・ソクトにも匹敵するフィジカルの強さが痛快だ。

ヴィランに扮したウ・ドファンの強烈な演技も必見
ヴィランに扮したウ・ドファンの強烈な演技も必見[c]Everett Collection/AFLO


さらに目を見張るのは、本作でヴィランを演じたウ・ドファンの変身シーンだ。手がけたのは、特殊扮装の専門プロダクションDOT(ドット)のピ・デソン監督とソル・ハウン監督。怪物とヨンフの強度の高いバトルアクションのため、扮装のキープ力や耐久性を確保するために挑戦したという。身体中に不気味な白い鱗を背負い、口が裂けたクリーチャーは凶悪さ100点満点で、“これぞジャンルムービー!”と快哉を叫びたくなる。

時代を超えて、世界各国で撮られ続けているオカルトものだが、韓国ではこうした“恨”を源泉に、神への不信といった宗教的テーマと社会批評の眼差しを織り込みながら、ユニークでバラエティ豊かな作品を創り出してきた。この夏、あなたの背筋を凍らせるのは、どんな韓国のオカルトムービーだろうか。

文/荒井 南

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