10周年を迎えた「日本統一」シリーズ!従来のVシネマとは一線を画す、“任侠女子”をも生みだした魅力とは?

コラム

10周年を迎えた「日本統一」シリーズ!従来のVシネマとは一線を画す、“任侠女子”をも生みだした魅力とは?

従来のVシネマとはここが違う!「日本統一」が人気なワケ

横浜の不良だった主人公たちが争いをなくすべく、日本統一を志す(『日本統一57』)
横浜の不良だった主人公たちが争いをなくすべく、日本統一を志す(『日本統一57』)[c]2023スターコーポレーション21

そのほかにもシリーズスタート時からのいくつかの“約束事”がある。まず大前提として、氷室と田村の物語であること。シリーズの作品数が増え、登場人物も膨大な数に上り、「日本統一外伝」などのスピンオフ作も生まれているが、本筋での主人公はあくまで氷室と田村だ。

そして任侠ものに付きものの過剰な暴力やドラッグでの勢力拡大をしないということ。さらにもう一つ、Vシネマではお色気シーンがお約束だが、そういった旧時代的なエロスシーンを前面に出さないことも開始当初から決められていた。そういうことなので、もちろん女性を陵辱するシーンも出てこない。

バイオレンスやエロスを排除しても「日本統一」は成り立つ作品であると信じ、シリーズを始動させた製作陣。その約束事を守り続けてきたからこそ、これほど多くの作品を生みだし、現在の女性人気の高さにもつながっていると言える。

共感できるキャラクター、丁寧に語られる物語がおもしろい!

“登場人物の多さ”も「日本統一」の大きな武器になっている。若手からベテランまで年齢層も幅広い様々なタイプのキャラクターが登場するので、視聴者の誰もが共感できる“誰か”を見つけることができるのだ。


思わず感情移入してしまうキャラクターが多いのも魅力の一つだ(『日本統一57』)
思わず感情移入してしまうキャラクターが多いのも魅力の一つだ(『日本統一57』)[c]2023スターコーポレーション21

任侠の世界だと限定せず、例えば勤めている職場には組織に入って間もない新人がいたり、多くの社員をまとめるトップの人間がいたり、上と下をつなげるために奮闘している中間管理職がいたり…そんなポジションと劇中のキャラを重ねてみると自然と“共感”が生まれてくる。

加えて、製作陣は冒頭とラストの大切さを訴えており、このシリーズにおいて、メインのストーリーの良さはもちろん、最初と最後も丁寧に作り込まれている点もポイントだ。

劇場公開作品だと、入場してしまえば、そのまま最後まで観てくれる人がほどんど。しかし動画配信サービスで観る人も多い同シリーズでは、最初の“つかみ”が肝心。冒頭部分でどれだけこの世界観に没入してくれるかが大きな課題であり、興味を引く展開で視聴者の心を掴んでいく。

そしてラスト。シリーズということで視聴者の興味を次につなげなければならない。そこでラストに次作につながるシーンを盛り込んでいる。そのチラ見せの効果はかなり大きく、期待感を煽ってくれる。

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