『呪怨』に憧れて上京し、映画監督に!Jホラーの“次世代”が清水崇監督と夢の対談「ようやく一歩踏みだせた」
「心の底から怖いものを観たいと思う人を裏切らない作品を」(近藤)
――今後はどんなホラー監督を目指していきたいと考えていますか?
近藤「昨夏の上映会で『その音がきこえたら』を観たお客さんから『怖くて泣いちゃいました』という声をもらったのがものすごくうれしかったんです。心の底から怖いものを観たいと思って来てくれた人の期待を裏切らない作品をずっと作り続けていきたいと思っています」
清水「じゃあずっとホラーで続けていくんですね」
近藤「いまはそのモチベーション一択です」
清水「偉いなあ。僕は『ホラー監督と呼ばないで』ってずっと言い続けているのに、つい先日もそう言われて『営業妨害です』って逆らって(笑)。20年以上も新しい企画に取り組むたびに『今度はどんな呪いの解き方で〜』なんてことばかり考えてて、内心どっかで『もういいだろ!』ってなってるのに(笑)。でも近藤監督みたいに、中学生の頃からホラー映画が好きで走ってきたのなら楽しみですね。次だ次だとなるのか、3本くらいでホラーはいいやってなっちゃうのか…(笑)」
近藤「さすがに20年もホラー映画監督を目指してきたので、3本で辞めたら中学生の自分に顔向けできないです」
清水「その考えを持てるのは頼もしいです。となると、まずは商業デビュー作をどうするかですね。一般に向けて映画を作るとなると、自分の持っている感性との兼ね合いが難しく感じることが絶対出てくると思います。それに長年続けていれば、あの手この手がもういいよと思われてしまうこともある。でもそれに挫けずに。最初の観客の一人として言わせてもらえば、前回の『その音がきこえたら』と今回の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』と観てきて、まだ僕は“近藤亮太ワールド”、“近藤亮太イズム”がどこにあるのか見えきれていないと感じます。そこを試行錯誤、孤軍奮闘しながら見つけ出して突っ走れば、代表作と呼べるものに巡り会えるのではないでしょうか」
近藤「ありがとうございます!とにかくいまは、『この一本を撮れて良かった!』で終わらないよう、20年後や30年後に日本や世界でホラー映画を撮る監督のなかに近藤亮太がいると思われるよう精進していきます!」
取材・文/久保田 和馬