『SATC』から『お嬢さん』、タランティーノ作品まで！おしゃれさん必見のファッション愛あふれる5選

映画やオリジナルドラマをはじめ、ここでしか観られないスポーツ、音楽ライブなど濃度の高い番組を放送し続けてきた有料放送WOWOW。その多彩なジャンルのコンテンツをオンラインで楽しめる番組配信サービス「WOWOWオンデマンド」も提供している。この夏も、映画ファン、ドラマファンを夢中にさせるコンテンツが目白押し。そんななか、アパレル業界から映画ライターに転身した清藤秀人がファッション目線で推し作品を解説！

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サラ・ジェシカ・パーカーが一躍世界的スターになったきっかけである『セックス・アンド・ザ・シティ』(08)や、ディオールのドレスがキーとなる『ミセス・ハリス、パリへ行く』(22)に、韓国の名監督パク・チャヌクが、キム・ミニとキム・テリの2大女優とタッグを組む『お嬢さん』(16)。さらに、鬼才クエンティン・タランティーノが監督を務め、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが初共演した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)、『ヒート』(95)や『マイアミ・バイス』(06)などで知られるマイケル・マンが手掛けるWOWOWとHBO Maxの日米共同制作によるオリジナルドラマ「TOKYO VICE」をピックアップ。すでに多くの映画ファンに愛されている5作を、改めてファッション愛あふれる視点からその魅力を深掘りしていく。

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アイコニックルックが続々登場『セックス・アンド・ザ・シティ』

2000年代初頭のニューヨーク、マンハッタン。4人のキャリアガールのライフスタイルが、主に彼女たちが着る服で表現されたエポックメイキング的な作品。それが「セックス・アンド・ザ・シティ」シリーズだ。テレビドラマが怒涛の快進撃を続けた後、ドラマが完結した4年後に設定された映画版でも、名だたるハイブランドがさりげないリアルクローズとして登場する。それも、ドラマ時代から少しアップデートされた形で。

ドラマシリーズから4年後を舞台に、キャリーら4人の新たなライフを映しだす(『セックス・アンド・ザ・シティ』)[c] Warner Bros. Entertainment Inc.

まず、映画の冒頭、マンハッタンの通りを闊歩するキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)は、かつて彼女のアイコニックなアイテムとしてランウェイでもブームになったバレエのチュチュをイメージしたドレスではなく、右肩に巨大な花をあしらった白いボディコンシャスなワンピースで登場。小物と靴はティファニーのブレスレット、映画には何度か登場するディオールのグラディエーターエクストリームサンダルという、ブランド三昧は相変わらずだ。

派手なファッションでキャラクターの個性を表現する(『セックス・アンド・ザ・シティ』)[c] Warner Bros. Entertainment Inc.

独身生活が恋しくてロサンゼルスからニューヨークに舞い戻ってきたサマンサ(キム・キャトラル)が合流して、旧交を温め合う4人のスタイルはこうだ。シャーロット(クリスティン・デイヴィス)はプラダのドレスと靴、後に妊娠してからはオスカー・デ・ラ・レンタの甘い水玉のマタニティドレス、ミランダ(シンシア・ニクソン)はフェミニンなラインに定評があるミラノのアルベルタ・フェレッティのドレス、サマンサは1990年代のフレンチパンクを代表するティエリー・ミュグレーのコンシャスな真紅のスーツをキツめに着て相変わらずのパワープレーヤーぶり。そして、キャリーはラルフ・ローレンのスーツ&タイでマニッシュもいけることを証明。4人が勢ぞろいした時の迫力はかつて4人のスーパーモデルが横一列になってランウェイを歩いたヴェルサーチのショーも顔負けだ。

存在感の強いヴィヴィアン・ウエストウッドのウェディングドレス(『セックス・アンド・ザ・シティ』)[c]EVERETT/AFLO

白眉は、ミスター・ビッグとの結婚式に一旦はヴィヴィアン・ウエストウッドのクチュールドレスを纏って現れたキャリーが、その結婚式が失敗に終わった後、ラストで再設定される2人だけの挙式ではシンプルなヴィンテージスーツをチョイスしている点。ブランドの女王が最後に選んだシンプルなスーツこそ、服が物語を牽引する「SATC」のコンセプトにはピッタリ。全ては、衣装コーディネーターを務めたパトリシア・フィールドの手腕。ハイブランドと自らデザインした服をミックスし、衣装コーディネーターの名前が作品の冠になったフィールドのスタートアップとなった作品が「SATC」なのだ。

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ディオールが全面協力『ミセス・ハリス、パリへ行く』

家政婦のハリスはクリスチャン・ディオールのドレスの美しさの虜となった(『ミセス・ハリス、パリへ行く』)[c]2021 Ada Films Ltd - Harris Squared Kft. All Rights Reserved.

第二次大戦後のロンドン、夫が戦場で行方不明になったという辛い知らせにも挫けず、ミセス・ハリス(レスリー・マンヴィル)はメイドとして仕えるブルジョアマダムの寝室で見つけた、クリスチャン・ディオールのドレスに一瞬で魅了され、海を超えてパリのディオール本店でドレスを設えてもらうことに。映画の前半、ミセス・ハリスにパリ行きを決意させる、全身に花が敷き詰められたピンクのベアトップドレスは、イギリス映画界を代表する衣装デザイナー、ジェニー・ビーヴァンが、ディオール本人が残したスケッチブックをヒントにリクリエイトした、物語の始まりを飾る逸品。

さらに、ディオール社は膨大なアーカイブの中から映画のために2着のドレスを提供している。まず、パリに渡ったミセス・ハリスが最初に希望する手縫いのスパンコールが眩しい、題して”テンプテーション”、そして、ミセス・ハリスの白い肌に緑の生地が生える第二希望の”ヴィーナス”だ。2着のドレスはその後、コツコツとお金を貯め、ドーバー海峡を渡ってパリのモンテーニュ通りにあるディオール本社で門前払いを食らったミセス・ハリスが、ここでも挫けずに周囲から愛を勝ち取っていく過程で、物語に大きく関わってくる。主演のマンヴィルの観客も味方につける好感度が高い名演も一役買っている。

レスリー・マンヴィル演じるミセス・ハリスは、誠実な人柄で周囲の人々を影響していく(『ミセス・ハリス、パリへ行く』)[c]2021 Ada Films Ltd - Harris Squared Kft. All Rights Reserved.

いまや、ヴィンテージは人気アイテムとして男女を問わず定着しているが、それが時代背景やストーリーと緊密にリンクしている点が、服で映画が語れる本作の肝。一方でビーヴァンは、花をあしらったフェルト帽や分厚いダブルのウールコート等、ミセス・ハリスが生来漂わせる庶民的な温かさを普段着に投影していて、観た人全員が彼女を応援したい気持ちになる。オリジナルとヴィンテージ、その使い分けがうまいし、映画の衣装作りを熟知している一流の仕事ぶりだ。

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30年代の韓国、60年代のハリウッド、90年代の東京…ファッションでタイムリープを味わう

WOWOWオンデマンド夏の特別企画
「語り尽くしたいプレイリスト　～2023年、夏。～」

【放送情報】
■『セックス・アンド・ザ・シティ』
WOWOWプライム　9月24日(日)　0：00～
■『ミセス・ハリス、パリへ行く』
WOWOW4K　9月16日(土)　19：00～
■『お嬢さん』［R15＋指定版］
WOWOW4K　8月17日(木)　2：00～
■『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
WOWOWシネマ　8月14日(月)　4：00～